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2023年10月29日号
スポーツ 59年ぶりの「関西対決」なるか 「虎党席巻」実は歴史が浅い?
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 プロ野球のセ、パ両リーグのクライマックスシリーズ(CS)は、6試合制のファイナルステージが10月18日から開幕し、18年ぶり6回目のセ制覇の阪神と、パ3連覇のオリックスが登場。注目は日本シリーズで59年ぶり2回目の「関西対決」が実現するかだ。

 プロ野球は1950年から2リーグ制となったが、関西は、セの阪神、パは南海(現ソフトバンク)に阪急と近鉄(ともに現オリックス)と、四つの鉄道会社が球団を持つ時代が88年まで続いた。しかし、過去に実現した日本シリーズでの関西対決は64年の阪神―南海の一度きりで、この時は南海が日本一に輝いた。

 ただ、64年のシリーズは寂しかった。雨天中止もあり、甲子園での最終第7戦は64年の東京五輪の開会式が開かれた10月10日にぶつかってしまった。注目は「世紀の祭典」に集まったのか。日本プロ野球機構(NPB)によると、第7戦の甲子園の入場者は1万5172人。今年9月14日に阪神が巨人を破って甲子園で優勝を決めた時の入場者数が4万2648人と比べると「寂しさ」は際立つ。なお、平均入場者数は阪神ホームが2万人に届かないのに対し、南海側は約2万9000人だった。

 翌年からセは川上哲治監督が率いる巨人の「V9」に突入する。パは阪急が西本幸雄監督の下、巨人に5度はね返されたが、75〜77年には上田利治監督が日本一3連覇を果たす。阪神は81年の「ベンチがアホ」騒動によるエースの江本孟紀の引退に象徴されるように「ダメ虎」時代が続く。しかし、85年は掛布雅之、ランディ・バース、現監督の岡田彰布らの猛虎打線で21年ぶりにセを制する。日本シリーズも〝黄金時代〟を築いていた西武も倒し、2リーグ制で初の日本一に輝く。

 一方、南海は球団の親会社がダイエーとなって88年を最後に福岡へ移転。同時期に阪急も親会社がオリックスとなる。そのオリックスはイチローらの活躍で阪神大震災の95年にパ優勝、翌96年はリーグ連覇の上に日本一になった。対して阪神は95、96年と2年連続で最下位。ただ、今世紀に入ると、星野仙一監督時代の2003年、前回の岡田監督時の05年とリーグ優勝する。

ただ、今度はオリックスが低迷期に入る。04年オフに近鉄を合併して唯一の「関西パ球団」となったが、シリーズは遠い。21年に25年ぶりのパ制覇を果たしたが、気がつけば当時の現存12球団で、最もペナントから遠ざかっていた球団のリーグ制覇(現在は1998年が最後のDeNA)だった。

 そんな「すれ違いの歴史」もあり、59年ぶりの関西対決に期待は高まる。関西経済連合会の松本正義会長(住友電気工業会長)は「両リーグともに関西の球団が制したことは非常に明るい話題であり、『関西ダービー』の実現を願っている」とコメントしている。

 道頓堀川に飛び込んだ熱狂ぶりを見ると、関西対決となれば、阪神ファンが敵地・京セラドーム大阪を〝席巻〟することも予想される。ただ、オリックスも近年、節目にお笑い芸人風やアイドル風の選手ポスターを展開して話題を呼ぶようになった。前述の通り、関西で阪神ファンの〝マジョリティー化〟は比較的歴史が浅い様子。関西対決の暁にはスタンドのファンの〝コントラスト〟も気になる。

(粟野仁雄)

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