サンデー毎日

くらし・健康
News Navi
2021年7月18日号
金融 日本郵政、戦略投資に計2兆円 かんぽ生命は上乗せ規制緩和へ
loading...

 日本郵政グループが攻めの経営に転じた。5月に公表した2021〜25年度の中期経営計画は、日本郵政がゆうちょ銀行とかんぽ生命保険の出資比率を50%以下に引き下げ、不動産事業、新規事業、情報技術の戦略投資に最大2兆円を振り向けることを掲げた。

 計画の一部は早くも動き出した。かんぽ生命の千田哲也社長は6月16日の株主総会で、日本郵政の出資比率が6月9日付で49・9%となり、50%を下回ったことを明らかにした。中計発表時点では64・5%。かんぽ生命が自社株を日本郵政などから買ったという。

 郵政民営化法はかんぽ生命が新たな保険を始めたい時は〈内閣総理大臣及び総務大臣の認可を受けなければならない〉(138条)と規定する。当然ながら他の保険会社にはない規制だ。同法は日本郵政がかんぽ生命株の半数以上を処分した場合は、先の規制は適用しないと定める。今回、日本郵政の出資比率が50%を下回ったことで、「上乗せ規制」がなくなる。千田氏は株主総会で「商品やサービスの開発がしやすくなる」と述べ、保険商品を拡充する方針を示した。

 日本郵政がかんぽ生命株の売却を急いだ背景には、19年に発覚したかんぽ生命の不正販売がある。営業ができなくなった異常事態を乗り越え、収益を回復させたいという判断がある。

 次の焦点は日本郵政がゆうちょ銀行株をいつ売却するかだ。中計発表時点で日本郵政はゆうちょ銀行株の約89%を保有していた。

(森岡英樹)

うさぎとマツコの人生相談
週刊エコノミストOnline
Newsがわかる
政治・社会
くらし・健康
国際
スポーツ・芸能
対談
コラム