サンデー毎日

コラム
青い空白い雲
2024年5月 5日号
詐称したくなる身長、年齢、年収、学歴は「差別の温床」だ!
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牧太郎の青い空白い雲/944

 誰でも、たまに「嘘」を吐(つ)く。

 若い頃、先輩記者の嘘を発見してしまった。先輩がある書類にそれとなく「身長175㌢」と書いていたのだ。一緒に並ぶと「174㌢の僕」のほうが背が高いのに......。コレ「身長詐称」ではないのか? 見栄(みえ)を張っているのかな(笑)。

 芸能界では「身長詐称」はよくある話。テレビ番組で突然「身体検査」が始まって、人気タレントの「身長詐称」が発覚。二枚目の彼は「絶対に171㌢あったんですけれど、縮んだのかな」と言い張った。芸能界では「年齢詐称」がごく普通。有名な大女優が、「◯◯褒章」を受章した時「本当の年齢」より3歳サバを読んでいたのが分かった。「あの年になっても......」とびっくりしたが(そういえば、ある男性演歌歌手も5歳サバを読んでいたから、男女に関係ないかもしれないけど)。

「稼ぎ」にこだわる人もいる。多くが「稼ぎ」を低く見せたがるものだが「昨年は○億円も税金を払った」と嘘を吐く人もいる。この手の人はご用心!ご用心!である。

 一方、「学歴詐称」は〝選挙がらみ〟が多い。

 古い話だが、1996年の衆院選で「芸能界のご意見番」と評判の女性が選挙公報に「コロンビア大学留学」と記載したのだが......。(多分、日ごろ、仲が悪い)女剣劇のスターが「アレは学歴詐称だ!」と言い出し、東京地検に告発した。コロンビア大学側に当時の名簿が存在せず、嫌疑不十分で不起訴となったものの、いろいろあってこの女性候補は結局、「繰り上げ当選」も辞退する意向を示した。テレビで観(み)ることはほとんどなくなった。「学歴詐称」の疑いがなかなか消えなかったのだろう。

 例の小池百合子東京都知事の「学歴詐称」は今に始まった話ではない。

 アラビア語をロクに話せないのに、難関で知られる「国立カイロ大学卒業」(しかも首席)と主張する小池さん。何度も「疑わしい」と指摘されていたが、今回は側近だった小島敏郎さん(元都民ファーストの会事務総長・弁護士)が、突如「小池氏の学歴詐称工作に加担してしまった」と告白する手記を月刊『文藝春秋』5月号に掲載したのだ。今回も「選挙がらみ」だ。

 でも......。どうでもいいじゃないか?と思ってしまう。

「学歴」は差別の温床ではないか?

 入社試験で「学歴」を重視する企業、縁談で「学歴」を重視する「家」......。平気で人間を「差別」する輩(やから)が大嫌いだ。そんな差別がたくさん存在するから「学歴詐称」が起こってしまうのだ。

 学歴を詐称する人(多分、小池さんも)は「差別」に負けた弱い人間なんだろう。

 そんな人を作らないためにも、我々は「学歴問わず」の本当の平等社会を創ろうじゃないか!

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