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2021年5月23日号
カルチャー 「バナナ+シラス」は意外とアリ 食の組み合わせを紹介する新刊
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 写真は『ソッコーで人間をダメにするウマさ 悪魔の食べ合わせレシピ』(講談社)という新刊書の表紙だ。小さくてモノクロなので伝わりにくいかもしれないが、一瞬ギョッとするビジュアルである。なんと、ラーメンにプリンが乗っかっているのだ。

 著者の鈴木隆一さんは人工舌コンピューター「味覚センサーレオ」の開発者。多くの日本人による食べ物や飲み物の味の点数評価を人工知能に学習させ、「おいしさ」を視覚化するという装置だ。人間の舌にある味蕾(みらい)と同様、「甘味」「酸味」「苦味」「うま味」「塩味」という五つの基本味を感知し、おいしさを計測する。なお本書は辛味は味覚ではなく、痛覚と捉えて除外している。

 この基本味のバランスを5角形のレーダーチャートで表すと、日本人がおいしいと感じる味のいくつかのパターンが見えてくる。そのパターンに合致すれば、通常では思いつかないような食材の組み合わせの中にも、意外な美味が潜んでいるというのだ。

 表紙の組み合わせは十分に衝撃的だが、目次にはさらに〝悪魔的〟なマリアージュ(?)が並ぶ。「魚卵+菓子」「ステーキ+チョコレート」「ウニ+モモ」「ゆで卵の黄味+ハチミツ」などなど。登場頻度では納豆が一番。しかし、割と納得できるものが多い。とはいえ「プリン+納豆」はちょっと手ごわそうだ。

 いくつか試してみた。まずは「バナナ+シラス」。バナナを一口かじり、断面にシラスをのせる。これはアリだ。甘味と塩味だけの組み合わせなのに、うま味が加わった。本書にある通り、焼酎のアテになる。コーヒーにほんの少しの塩。これもイケる。かすかな酸味がさらにまろやかになり、優しい味わいになって香りが引き立つ感じだ。

 中にはうなずけないものもあったが、味覚の冒険としては面白い。家でお金もかけずに手軽に試せる、時節に合った楽しみだと思う。

(小出和明)

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