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2024年2月 4日号
北朝鮮 北朝鮮への観光を巡り対立か 中国とロシアの「微妙な関係」
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 北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)・朝鮮労働党総書記は最近、韓国に対して「焦土化」「主敵」「同族ではない」と相次いで攻撃的な発言を行っている。一方、北朝鮮を巡っては奇妙な動きが見えてきた。中国とロシアとの関係だ。

 北朝鮮は「自力更生」を国家目標として長年掲げているが、経済状況は他国と比べ厳しい。最近は「ガソリンなどの油、そして食糧、日用品などの生活必需品、抗生物質などの薬品が特に足りない」(中朝国境近くに住む中国人ビジネスマン)という。

 生活面において、基礎的なものがやはり足りないのが実情のようだ。これには中国政府が、これまでお目こぼししていた小規模の密輸さえも徹底して取り締まっているためもある。

 そんな状況を抜け出すためには、北朝鮮も自ら金を稼がなくてはいけない。足りないものは輸入しなければいけない。ただ、それには金が必要だ。

 そこで北朝鮮指導部は、特に中国に向けて3月上旬をめどに、かつて中国などに留学して外国語がある程度でき、少しでも人脈を持つ幹部らを派遣し、商売を行わせようとしている。この際、これまで駐在している北朝鮮国民を代替わりさせ、20〜40歳代の若い国民を派遣するようだ。

 だが、経済制裁を受けている北朝鮮という特殊なお国柄ゆえに、ビジネス習慣にも特殊な点があるのだろう。「そんな若い、経験の少ない人間を送られてきても、かなり苦労しそうだ」(前出のビジネスマン)という声も既に聞こえてくる。

 北朝鮮にとって、相対的に簡単な金を稼ぐ手段の一つに観光がある。そして、北朝鮮を訪れる観光を巡り、中国とロシアが対立している状況があるようだ。

 中国政府は北朝鮮への中国人観光客の訪問を昨年9月下旬、許可しようと計画していた。北朝鮮もコロナ禍を受けて2020年1月から実施してきた国境閉鎖を解除し、受け入れる準備をしていた。

 ところが昨年9月中旬、金総書記がロシアを訪問。プーチン大統領との首脳会談を行ったことで、中国首脳部がへそを曲げて許可を見送ったという。

 一方、ロシアはこの2月から、北朝鮮東部のスキーリゾート地・馬息嶺(マシンリョン)スキー場への観光ツアーを組み、70人ぐらいの観光客を送り出す予定だ。また中国・吉林省延吉市など北朝鮮と国境を接する都市には、北朝鮮観光をするロシア人の数が続々と増えている。

 北朝鮮とロシアとの関係は、ウクライナへ侵攻したロシアに北朝鮮が武器や弾薬を供給しているとさえ噂(うわさ)されており、関係が深まっているのは確か。要人の訪問も続いている。ただ、中国が金総書記の訪露にそこまで腹を立てていることは、北朝鮮にはこれまで知られていなかった。

「年内の早い時期に、金総書記が訪中して中国指導部のガス抜きをしないと、観光をはじめ経済協力は円滑に進まないのでは」。中国のビジネス関係者は気をもんでいる。

(浅川新介)

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