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2022年9月 4日号
芸能 悲願「落語界の統一」はあるか 復帰した「三遊亭円楽」の覚悟
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 脳梗塞(こうそく)から復帰した落語家の三遊亭円楽(72)が「みっともなくてもいいから死ぬまでやります」と語り、「(落語界を)統一したい」。8月11日、取材を受けた円楽の発言に落語家たちが共鳴。東京・上方の落語界統一に向けて機運が高まった。

「円楽は闘病中に、空席になっている三遊亭圓生を〝襲名したい〟と名乗りを上げていたのですが、私利私欲を捨てて落語界の統一を訴えた。落語芸術協会会長で日本テレビの『笑点』の大喜利司会を務める春風亭昇太も以前から統一を望んでいた。東京と上方の落語界は統一に向けて動き出しますよ」(演芸ライター)

 東京の噺家(はなしか)たちは、関東大震災の翌月に設立された「東京落語協会」に所属していたが、1940年に国の指導ですべての団体、噺家たちが「講談落語協会」に再統一。しかし戦後、分裂を繰り返し現在、落語界は落語協会、落語芸術協会、五代目円楽一門会、落語立川流。それに関西の上方落語協会の五つに分かれている。

「6年前、三遊亭円楽や春風亭小朝、それに上方落語協会副会長の笑福亭鶴瓶ら落語界の重鎮が集まり、『博多・天神落語まつり』の公開記者会見で異例の落語界統一を訴えました」と言うのはお笑い関係者。

「会見で鶴瓶が〝(協会分裂に)しがらみがある人間はほとんど死んではる〟と笑いを取ってました」(同)

 その後に昇太が落語芸術協会会長に就任して統一化は進むと見られた。だが、簡単に東西の統一はスムーズにいかなかった。

「旗振り役の円楽が入院生活を繰り返していたことで話は頓挫したんです」(席亭関係者)

 円楽は脳梗塞で1月に入院、5月に退院したが、復帰絶望という声さえあった。

「その後、リハビリを続け〝みっともなくてもいいから死ねまでやります〟と涙ながらに復帰。その上で落語界の統一を訴えた。賛同しない噺家はいません」(前出の演芸ライター)

 円楽の一言で統一の動きが加速するか、期待したい。

(本多圭)

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