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2020年2月 2日号
緊迫化する中東情勢 物価高騰の荒波から家計を守る!
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▼原油急騰で世帯当たり年7800円負担増

▼電力・ガスの契約切り替えで家計節約...

年明け早々、米軍がイラン軍部の要人を殺害し、イランは5日後、米軍基地をミサイル攻撃した。中東情勢は一段と緊迫し、原油価格は一時、急騰した。今後の情勢によっては我々の暮らしにも悪影響が及びそうだ。状況分析から家計を守る対策までを探った。

孫崎享(うける)氏は外務官僚として国際情報局長や駐イラン大使などを歴任し、防衛大教授も務めた国際情勢分析の専門家だ。氏は今回の米国・イランの報復合戦について、次のように語る。

「今回の件が起きて想起されるのは、1973年の第4次中東戦争です」

エジプト・シリア両軍がイスラエル軍を攻撃した開戦直後、石油輸出国機構は原油価格を一気に7割値上げした。第1次石油危機である。日本の物価は急騰して庶民の暮らしを直撃、翌年のインフレ率は23%に達し、「狂乱物価」と呼ばれた。

在イラン日本大使館に勤務した経験がある日本エネルギー経済研究所の坂梨祥(さち)・中東研究センター副センター長は「ホルムズ海峡の封鎖」に言及する。同海峡はイランとアラビア半島の間に位置し、世界の原油輸出の2割程度が通る。

「昨年5月、米国が対イラン制裁を強化した直後、何者かがホルムズ海峡近辺でタンカーを攻撃する事件が相次ぎました。イランの犯行と見る専門家もいます。今後、『海峡が封鎖される』という危惧が強まれば原油価格は急騰し、生産コストも跳ね上がる。日本に直接的な影響が及ぶのです」

ただでさえ消費増税によって逼迫(ひっぱく)する家計はどうなるのか。そして、その対策をどうすべきか。それらについては後述するとして、まずは中東情勢について理解を深めよう。

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