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2020年1月19日号
飲んではいけない!危ないクスリ 市販薬編
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▼65歳以上は要相談。胃酸を抑えるH2ブロッカー

▼認知症につながる睡眠改善薬

政府は風邪薬や花粉症治療薬、湿布薬など、市販薬で代替が可能な処方薬を今後保険から外していく方向で調整している。命に関わらないような病の場合は、市販薬を購入することになるが、そこで必要になるのは「選ぶ目」だ。リスクある薬を見極めたい。

若者の間で「市販薬の乱用」が広がっている。

市販薬の中にはいわゆる〝麻薬使用〟と同等の感覚を得られるものがあり、決められた量を守らないと依存を引き起こす。2018年に厚生労働省の研究班が薬物依存とみられる約2600人を調査すると、使用していた主な薬物は全年代では覚醒剤が最も多かったが、10代にしぼると市販薬が41%を占めてトップに。

東京薬科大薬学部客員教授の渡辺謹三氏によると「咳(せき)止めシロップが危ない」という。

「鎮静作用のあるコデインが含まれているものが多いのですが、〝多幸感が得られる〟といわれていて依存しやすいのです」

市販薬に詳しい薬剤師の堀美智子氏(医薬情報研究所/エス・アイ・シー)も、「体質によってコデインがすごく効く人とそうでない人がいる。かつて小児には少数ですが呼吸抑制が出て酸素吸入などの処置が必要になった例もあることから、現在は12歳未満は使えなくなりました」と解説する。

厚労省はエフェドリンやコデインなどを「乱用等の恐れのある医薬品の成分」に指定している。

こうした成分が含まれる薬を薬局などが販売する際は原則1人1包装単位(1箱、1瓶等)とし、複数購入する場合には理由を尋ねることを義務付けている。しかし、厚労省の委託を受けた民間会社が全国の薬局やドラッグストア5000店を調べたところ、店側が理由を確認せずに複数販売したケースが半数近くであった。

「若い頃に『乱用のおそれのある薬』を多用すると、将来、覚醒剤や大麻などの薬物乱用につながりやすい」(渡辺氏)という。

子供や孫が服薬する際には目を光らせるとともに、自ら市販薬を使用する時には、これらの成分が含まれていないか確認し、含まれている場合はくれぐれも「使用量」を守ること。また、薬の外箱に記される分類でリスクの程度も確認したい。

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