今年は米カリフォルニア州、オーストラリア、ブラジル・アマゾンなど、大規模な森林火災が目立つ年だった。そのアマゾンの火災について、ブラジルのボルソナロ大統領が意外な人物の責任を追及した。ハリウッド俳優、レオナルド・ディカプリオだ。
ブラジルでは最近、アマゾンの消火ボランティアらが寄付を募るためにわざと火をつけたとして逮捕される事件があった。大統領はこれを念頭に「『環境保護主義者』ディカプリオが寄付により加担している」などと公に非難した。
これに対し、ディカプリオは自身のインスタグラムで「自分はアマゾンの自然、そして文化的遺産を守ろうとするブラジルの人々を支援する」と語り、大統領の非難は全くのお門違いである、とした。
またアマゾンの自然保護に関わる環境保護団体も「誤った環境保護主義者に対する非難が行われ、人々を間違った方向に導こうとしている」という内容の声明を出した。
アマゾンの火災については複数の原因が指摘されている。中には「アマゾン流域で暮らす少数民族への反感からの放火」という物騒な説もあるが、その最たるものは「政府が農地や地下資源の開拓のため森林に火をつけている」というもの。今回の大統領の非難発言は、外部による政府批判から矛先をそらすためのもの、と見られている。
今年1月に就任した大統領は地球温暖化に懐疑的なことから「南米のトランプ」と呼ばれ、森林伐採に積極的なため「ミスター・チェーンソー」ともあだ名されている。ディカプリオが森林火災防止のため500万㌦を寄付する、と発言したことに以前から反発していた。
しかし、アマゾンの熱帯雨林については米NASAも過去の航空写真との比較でその規模の縮小、発生する水蒸気量の減少について警告を鳴らしている。地球の酸素の大きな発生源と言われる熱帯雨林の消滅は地球の存亡にも関わる問題だ。(土方細秩子)