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2019年12月15日号
「親が知らぬ間」のSNSの怖さ 大阪市の少女を栃木県内で監禁
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行方不明になっていた大阪市住吉区の小学6年生の女児(12)が11月23日、約430㌔離れた栃木県小山市で、監禁されていた家から裸足で逃げて交番に駆け込み、1週間ぶりに保護された。

未成年者誘拐容疑で大阪府警に逮捕されたのはこの家に住む伊藤仁士(ひとし)容疑者(35)。「誘拐したつもりはない」と容疑を否定しているが靴やスマホを取り上げ、食事も1日1回だった。女児との接点はSNS。「うちに来た女の子がいる。話し相手になってほしい」などと巧みに住吉区の公園に誘い出し、在来線を乗り継いで小山市に連れ帰った。

女児の話で、この家では茨城県で6月から不明だった15歳の女子中学生も監禁されていたことがわかり保護された。
だが伊藤容疑者について、かつてアルバイトをしていた自動車教習所の社長は「礼儀正しく真面目で正社員にしたかったほど」と不思議がる。
娘と涙の再会を果たした女児の母は「6日も監禁したことは許せない」としながらも、「何度も携帯(スマホ)のチェックはしていたけど何もなかった」などと報道陣に語った。「スマホは5年生の頃から持たせた。ツイッターのダイレクトメッセージのことはわからなかった」と話している。昨今、こうしたツールは親よりも子供が熟知している。時を同じくして不明になっていた兵庫県の女子中学生も埼玉県で監禁されていた。これも接点はSNSだった。
今やティーンや小学上級生は、日常的に顔を合わせる級友などを「リア友」、ネット上の友人を「ネッ友」と呼ぶまでになっている。「親と喧嘩(けんか)して家出している」などの声をスマホ画面で見つけた大人は「うちにおいでよ」などと簡単に接触できる。
スマホが犯罪の入り口につながっている事実を、親子で認識すべきだ。特に、業界PRに煽(あお)られるままに「便利だ」と子供に持たせる道具について、世の親は考え直す時だろう。(粟野仁雄)

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