来年9月からマイナンバーカードを使ったポイント還元が開始される。「消費増税対策として有効なキャッシュレス決済のポイント還元措置が来年6月に終了する。その後継策として期待されているのがマイナンバーカードによるポイント還元だ」(中央官庁幹部)。
マイナンバーカードを使ってIDを取得した人を対象に、電子マネーやスマホ決済でポイントを還元する仕組みで、自民党の経済成長戦略本部の会合では25%もの高いポイント還元が必要との声が挙がっている。つまり、最大2万円をキャッシュレス決済すると5000円分のポイントを受け取れる案だ。
このマイナンバーカードによるポイント還元を前に、公務員は全員取得するよう関係省庁から圧力がかかっている。
「あまり知られていないことですが、内閣府から11月中旬締め切りで、マイナンバーカードの取得状況に関するアンケート調査が行われました。公務員でもマイナンバーカードを取得していない者は多く、家族を含め取得するよう圧力をかけているわけです」。ある中央官庁の職員は、こう明かす。
アンケートは公務員全員に配布されており、カード取得の有無、取得しない場合の理由などを尋ねる。「家族全員の分も回答しなければならない。取得しない理由など書けるわけがなく、事実上、取得勧告のようなものだ」(中央官庁職員)
景気減速に歯止めをかけるためにはポイント還元が有効と学習した安倍政権。その前提としてマイナンバーカードの普及は不可欠だ。だが、交付実績は8月末時点で約1772万枚、人口の約14%に留(とど)まる。このため、〝まず隗(かい)より始めよ〟とばかりに公務員家族全員の取得を目指すわけだが、財源は大丈夫か。政府は2019年度補正予算案や20年度当初予算案に関連費を盛り込む方針で、総額2000億円程度になる見込みだが......。(森岡英樹)