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2019年12月 1日号
がんの痛みを知るQ&A 核心の15問に専門医が答える
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<がんらくし(楽死)>

▼本人に「余命」を伝えるべきか

▼看取りはどうすれば

がんの痛みを知り、生きるためにがんと向き合おう。自らもがん闘病中の気鋭のジャーナリストが、2回にわたり綴ってきた本シリーズに通底する心構えである。今回は、核心的な15の問いについて専門医に答えてもらうことで、がんに対する理解をさらに深めたい。

「がん楽死」(注1)を探るシリーズ第3回は、前2回の内容を受けての厳選Q&Aをお届けする。在宅緩和ケアの草分け的存在として知られる「さくさべ坂通り診療所」(千葉市)の大岩孝司医師(72)と鈴木喜代子看護師が、患者本人やその家族らの多くが抱くと思われる具体的な不安や疑問などにズバリ答えた(以下、アンサー部分は大岩医師らのメッセージ)――。

(1)「治療が尽きた」とはどういう意味か?

少なからぬ患者さんやご家族が医師から突然、「残念ながら、ウチでできることはもうありません」と宣告され、「今後は緩和ケアを」と勧められます。

一般的には「がんを治すための治療、あるいは延命のための治療が尽きた」という意味ですが、多くの場合、抗がん剤治療を何度か受けてきた患者さんに対してなされる宣告です。

いずれにせよ、患者さんやご家族にとっては残酷とも言える言葉です。

もちろん医師側から患者側への伝え方の問題もありますが、最大の原因は治療の開始から終了に至るまでの間の、医師側と患者側のコミュニケーション不足にあります(注2)。

突然の宣告に動じないためにも、普段から不安や疑問などを医師側に伝えて尋ね、その都度、患者側としての理解と納得を得ておくことが大切です。

(2)緩和ケアは「死を待つだけ」の場所なのか?

①で述べたこととも関連しますが、医師側と患者側のコミュニケーション不足は、例えば「緩和ケアは死を待つだけの場所」などの誤解も生み出します。

治療や予後などについての十分な理解や納得が得られていない患者側が突然、頼りにしていた医師側から「残念ながら......」と切り出され、間髪を入れず「今後は緩和ケアを」と宣告されれば、「見放された」「あとは緩和ケアで看取(みと)られるだけか」などと絶望してしまうのも当然です。

しかし、緩和ケアは看取りを行うためにあるわけではありません。そう確信しているからこそ、私は緩和ケアを受ける患者さんやご家族に対して「これからご本人に適したケアを受ければ、今の体調も気持ちも徐々に整っていきます。そして、体調や気持ちを整えることが、よりよい状態でより長く生きる可能性を高めていきます」とお伝えしているのです

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