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2019年11月24日号
小売業の生殺与奪権握ったガリバー 黒船「アマゾン」にのみ込まれる日本企業
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◇どうなる!?しまむら、ビックカメラ、JTB...

米国で名門企業の経営破綻が相次いでいる。「アマゾン」をはじめとする電子商取引(EC)企業に客を奪われた結果だ。日本のEC化は米国より5年ほど遅れているという。つまり、これから数年後、同じ運命が待ち受けているのか。のみ込まれる日本企業はどこなのか。

修羅場の様相を呈していた。シャツやジーンズ、ブラウスはハンガーからずり落ち、来店客はおかまいなしに踏みつけて品定めをしている。レジ前の行列に仕切りはなく、人波が不規則に売り場まで延びていた。東京・新宿のアパレル店「フォーエバー21」で10月下旬、筆者が見かけた光景だ。

米国に本拠を置く同名の親会社は9月29日、連邦破産法11条(日本の民事再生法に相当)の適用を申請し、経営破綻。それにともない、日本国内の14店とインターネットの販売サイトは10月末をもって営業を終えた。地上3階、地下1階の新宿店は閉店セールまっただ中だったのである。

フォーエバー21は「ファストファッション」と呼ばれる若者向け格安衣料分野の一角を占めてきた。2009年に東京・原宿にオープンした際は、開店前に約1200人もの行列ができた。それから10年、凋落(ちょうらく)はあっけなかった。

敗因は何か。米国ではインターネット通信販売、より専門的には「電子商取引(EC)」を手掛ける企業と関連付ける報道が目立つ。EC企業の代名詞として名が挙がるのが米最大手のガリバー、アマゾン・ドットコムだ。

8月に経営破綻した米百貨店バーニーズ・ニューヨークに関連して、ロイターは10月15日、次のように伝えた(日本にある同名の店は別経営のため影響はない)。

〈バーニーズは高級百貨店でさえアマゾン・ドットコムのようなEC企業との熾烈(しれつ)な競争から逃れられないことを示し、没落する小売業の最も著名な被害事例となった。過去2年間には、シアーズ・ホールディングス、トイザらス、ジンボリー・グループも(同じ要因で)経営破綻している〉

アマゾンが小売業の生殺与奪権を握った――。そんな意味をこめて米国では「小売業の黙示録」「アマゾン・エフェクト(アマゾン効果)」と呼ぶようになった。〝効果〟はもちろん、悪影響のニュアンスだ。早稲田大大学院経営管理研究科の根来龍之教授に聞いた。

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