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2019年11月 3日号
「キャッシュレス」で中小店悲鳴 支援終了後の「手数料」が重荷に
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消費増税に合わせてスタートしたキャッシュレス決済によるポイント還元制度が、中小の小売店や飲食店の首を絞めることになりかねない。キャッシュレス決済の導入に伴う負担が、想定していたよりも重荷となる可能性があるためだ。

制度は、クレジットカードや電子マネー、デビットカードなど、現金を使わずに支払いを済ませたときに適用される。中小や個人事業者が運営する店なら決済額の5%相当分が、コンビニやガソリンスタンドなど大企業のフランチャイズ店なら2%分が、それぞれポイントや割引の形で返ってくる。

期間は来年6月まで。店が制度を利用できるようにするためには経済産業省への登録が必要だ。同省によると、10月11日までに約52万店が登録した。

ここで心配されているのは、カード会社などに払う加盟店手数料だ。制度の期間中は上限があり、国もその一部を補助する。決済に必要な端末の導入費用も支援を受けられる。だが、制度の期間終了後、手数料の上限や国の補助がなくなることへの懸念も大きい。

「利幅の薄い中小店舗にとって、少しでも負担が増えると厳しい。支援がなくなれば立ち行かなくなるところもあるでしょう。導入に二の足を踏む商店街の仲間は多い」(都内の独立系スーパーの店主)

キャッシュレス決済の割合が増えると、すぐに入ってくる現金が減る点も懸念材料だ。店には決済業者から後払いされるケースがほとんどのため、店の資金繰りに影響する可能性もある。体力のない店にとっては不利な状況だ。

東京商工リサーチによると、4~9月の半年間で飲食店や小売店などの倒産は、前年に比べて増えている。中小店には高齢の経営者も多く、増税やポイント還元制度などの対応を諦め、店をたたむ決断を前倒しした例もある。政策のしわ寄せが中小店舗ばかりにおよぶ構図は見たくない。(葉月利雄)

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