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2019年11月 3日号
台風19号で脆弱性露呈!2027年、タワマンが廃虚化する日 売り逃げするなら今だ
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大都市の中心部だけでなく、郊外でもタワーマンションを見る機会が増えている。不動産調査会社の東京カンテイによれば、2020年には全国に累計1371棟が建つ予定だという。だが、"廃虚化"を予想する専門家が出現し始めた。何が起きているのか。

列島各地を襲った台風19号は死者77人、行方不明者16人という甚大な被害を及ぼした(10月16日現在、『毎日新聞』集計)。首都圏では、武蔵小杉駅(川崎市中原区)の近くに建つタワーマンションが停電や断水に見舞われ、大きく報じられた。

タワーマンション、通称"タワマン"の被害が注目されるのは偶然なのか、それともタワマンが抱える脆弱(ぜいじゃく)性があらわになったからなのか。名古屋大の福和伸夫減災連携研究センター長・教授(耐震工学)に聞いた。

「タワマンの多くは非常用電源や非常食を用意していますが、せいぜい3日程度しかもちません。停電の怖いところはエレベーターが止まり、高層階まで人や物資を運ぶのが困難になり、トイレが使えなくなることです」

大地震の被害も懸念されるという。東日本大震災の後、マンション分譲業者は地震に強い「免震構造」をセールスポイントにしてきたが、福和氏は思わぬ被害を説明する。

「16年の熊本地震では『長周期パルス』という特殊な揺れが初めて観測されました。この揺れを受けると、免震構造が十分に機能しない恐れがあるのです」

一般的な免震構造の建物は、地下部分に箱のような擁壁を設け、その中に免震装置を設置するという。地震が起きると免震装置が揺れを吸収し、建物の影響が軽減される仕組みだ。

「長周期パルスは脈打つような揺れが一撃で襲ってくるため、免震装置が破損する可能性があります。また、建物下部と擁壁(ようへき)は60センチほどの間隔しかないことが多く、長周期パルスによって双方が衝突しかねません。そうなれば、建物のダメージは避けられないでしょう」(福和氏)

停電や地震によってタワマンで暮らせなくなれば、避難するしかない。住人が多い物件だと、避難所が足りなくなるおそれがあるという。

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