サンデー毎日

政治・社会
News Navi
2019年10月27日号
「マチネの終わりに」を語る夕べ 平野氏「ヒロインのモデルは...」
loading...

天才ギタリストと国際ジャーナリストの運命の愛を描いたベストセラー小説『マチネの終わりに』が、福山雅治さん、石田ゆり子さんらの出演で来月から全国公開される。原作者の平野啓一郎さんが10日、都内のイベント「文学ワイン会」で公開前の思いを語った。

作中で主人公の蒔野聡史と小峰洋子が会うのは3度だけ。初対面の夜、スペインバルで会話を弾ませ、深く心を通わせていく様が印象的に描かれる。参加者は2人のイメージでセレクトされたビンテージのカヴァや赤ワインのフランス産カベルネソーヴィニヨンを味わいながら耳を傾けた。

試写の感想を尋ねられた平野さんは「福山さんはものすごい努力家で、難しいクラシックギターをできるようになるまでずっと練習して、蒔野のスランプから現役復帰までをとてもよく演じ分けられていた」とたたえた。

日本人離れしたヒロイン洋子の造形は、同作と既存の恋愛小説との大きな違いだ。世界的に著名な映画監督の娘であり、数カ国語を話し、海外通信社の記者として戦地取材も志願する勇敢さだが、40歳を過ぎ、結婚や出産に対して等身大の女性の悩みもある。平野さんは「これまで日本文学では書かれたことのない活動的で聡明な女性を描きたかった」という。

洋子役の石田さんは完成披露試写会で「原作が大好きで演じられてうれしいが、感想が気になる」と観客の反応を窺(うかが)う一面もあったが、平野さんは「洋子はともすると、いけすかないというか、観る人が遠い存在に感じてしまう。でも石田さんはそこをチャーミングに演じていた。スタッフも出演者も原作をリスペクトしてくださった」と感謝を示した。

「洋子のモデルはいるのか」という質問に「本当にあんな人いるのと、よく聞かれます。そこはご想像にお任せしたいですが、まったくの架空ではないです」と笑って答えた。公開は11月1日から。(柳悠美)

うさぎとマツコの人生相談
週刊エコノミストOnline
Newsがわかる
政治・社会
くらし・健康
国際
スポーツ・芸能
対談
コラム