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2019年10月13日号
最大輸入先・台湾「断交ドミノ」タピオカブームの賞味期限は?
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大ブームを巻き起こしてるタピオカの最大の輸入先、台湾。ところが、中国からの独立志向の強い蔡英文政権下で「断交ドミノ」が続いている。タピオカブームの賞味期限を危ぶむ声もあるようだが、本当はどうなのか。

台湾政府は9月20日、キリバスと断交。台湾は同16日にもソロモン諸島と断交、外交関係を持つ国は15カ国と過去最少を更新したばかりだ。台湾在住ジャーナリストの井上雄介氏がこう話す。

「経済的な影響はないでしょう。台湾にとって断交はある程度織り込み済み。外交関係がなくても経済的な関係は維持できる。実質的な損失はないと思います」

台湾から日本へのタピオカ輸出は堅調に推移している。日本の貿易統計によると、今年1~7月の台湾からの輸入額は約21億円。昨年同期に比べ約5・8倍。過去最高だった昨年1年間の輸入額をすでに上回っている。ただ、タピオカブームの勢いは落ち着いてきた印象だ。財産ネット企業調査部長の藤本誠之氏は「『タピオカ銘柄』がもてはやされたのは今夏の手前ごろまで。取引はすでに一巡し、株価も一服しています」と指摘する。

代表的な輸入元、神戸物産の株価は9月26日終値が5120円で、8月の高値6380円から1000円以上値を切り下げている。同社は食材販売の「業務スーパー」を展開し、家庭向けなど冷凍タピオカを販売する。「台湾の業者の中には、今後の日本でのブーム沈静化を見越して供給を絞るところがあると聞いています」(前出・井上氏)。これが大きな動きとなれば、聞き捨ててはおけない。

「断交ドミノ」の背後には、中国の強い圧力があるとされる。欧州などでは中国の姿勢に反発し、台湾と国交を持つべきだと主張する声も出始めている。政治と経済は別ものとはいえ、最近は貿易や経済が政治に振り回されるケースも増えた。日本の食卓や家計に火の粉が降りかからなければいいが。(葉月利雄)

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