「トランプ一族は今後数十年続く王朝を築き上げる」。2020年の大統領選で再選に意欲を燃やすトランプ大統領陣営幹部の口から、こんなトンデモ発言が飛び出した。それどころか、この"王朝"は「共和党を全く新しいものに作り変えていく」という。
9月8日、カリフォルニア州で開かれた共和党議員総会。パスカル選対本部長は「トランプ一家こそ、従来の価値観を守りながらも共和党に新しいルールをもたらす存在」と持ち上げてみせた。ではトランプ家は今後も政治に関わり続けるのか―。記者からそう質問されると、同氏は言葉を濁しつつも「彼らはすべて素晴らしい能力に恵まれた人々で、王族の名にふさわしい」と続けた。
王室を持たない米国人は、英国のような社会への憧れが強いといわれる。過去にもケネディ家、ブッシュ家、クリントン家が王族のように扱われたこともあった。トランプ家の場合、長女のイバンカさんは大統領補佐官、その夫のクシュナー氏は大統領上級顧問、長男ドナルド・ジュニア氏と次男エリック氏が"トランプ企業"の幹部の地位にあるなど政財界で活躍している。
また、パスカル氏は次期大統領選では200万人のボランティアを動員し、昨秋の中間選挙で過半数を割り込んだ下院の議席を取り戻したいとも語った。そもそも今回の大会は、民主党の支持基盤で「ブルーステート(青い州)」と呼ばれる州でいかにして共和党の力を取り戻すかが議題だった。
前回の大統領選でトランプ氏はカリフォルニア州で大敗したが、以降も同州では全く集会を開いておらず、共和党内で不信感がくすぶっていた。「カリフォルニアで共和党が勝つのは難しいかもしれないが、全く問題ない」と、パスカル氏はあくまで強気だ。
ちなみに、「選挙での敗北を回避するため、トランプ大統領が勇退の道を選ぶ」との臆測もある。(土方細秩子)