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2019年9月22日号
睡眠負債の国ニッポン 寝室恐怖!?専門医が教える不眠症に克つ!
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◇平均睡眠時間 日本7時間22分、米国8時間48分、中国9時間2分...

睡眠不足は万病のもと。放っておくと、生活習慣病やがん、認知症などの発症リスクが高まる。なぜ、睡眠がうまくとれないのか。最新の知見に基づき、不眠をこじらせないポイントや、体に負担の少ない最新の睡眠薬の知識などについて専門家が伝授する。

人は、脳と体の疲労を回復させるために、毎日「睡眠」というメンテナンスが必要だ。しかし、日本人は先進諸国の中でも突出して、睡眠時間が短いという。経済協力開発機構の統計(2019年)によると、加盟国の平均睡眠時間は全体平均が8時間25分なのに対し、日本は7時間22分で加盟国中最も短い。他の主要国を見ると、アメリカ8時間48分、フランス8時間33分。中国は、なんと9時間2分というから驚きだ。

「必要な睡眠時間は遺伝的な要因が強く、個人差も大きいのですが、人種間の差はないと言われています。従って日本人の実生活での睡眠時間が世界の中で突出して短いのは異常事態です。働き過ぎの社会のシステム、あるいはスマホの使い過ぎなどさまざまな要因が考えられますが、日本人の睡眠時間はこの50年間で約1時間減ったことになります」。睡眠医療の専門家で秋田大教授の三島和夫氏(56)はそう説明する。

◇怖い睡眠負債 健康への影響大

このところよく耳にするのが「睡眠負債」という言葉。文字通り、睡眠不足が借金のように溜(た)まることを指す。睡眠負債が増えると、日中に眠気を催すだけでなく、肥満や、糖尿病、高血圧などになりやすく、認知症やうつ、がんなどの発症にも影響を与えることが研究で分かってきた。

睡眠不足は、いわば万病のもと。一日の中でしっかり睡眠時間を確保して、負債を作らないよう心がけることが大切となる。

ただ、睡眠の問題には睡眠障害という病気もある。睡眠障害には、不眠症をはじめ、多種多様の疾患がある(図1)。スリープ・サポートクリニック(東京都品川区)で睡眠に悩む患者の診療を行う医療法人社団SSC理事長の林田健一氏(49)は、「昼も夜も活動する24時間社会、ストレスの増加、さらに高齢化などの影響で、近年、睡眠障害の患者さんは増えています」と話す。

不眠症については後半で詳しく触れるが、まずは、近年増えている、生活習慣の乱れによる概日(がいじつ)リズム睡眠障害から見ていこう。

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