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2019年9月15日号
今年のサンマは大不漁の予感?気仙沼で初水揚げも出足は鈍く
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晩夏から秋の庶民の味、サンマが大ピンチだ。8月27日、宮城県気仙沼市の気仙沼漁港で今季初の大型漁船(北海道船籍)の水揚げがあり、7・6トンと厳しい出足となった。

同港は全国3位のサンマ水揚げ量があり、昨年同時期の初水揚げは65トン。気仙沼漁協担当者は「最悪といわれた一昨年も8月は3隻で計113トンあった。残る船の水揚げは未定ですが、一体どうなるのか」と不安そうだ。セリ価格も1キロ当たり700~800円で昨年の倍近かった。価格も暴騰しそうだ。

8月に入って解禁された小型船(10トン以上20トン未満)と中型船(20トン以上100トン未満)による北海道沖やロシア200カイリ水域内での操業では現時点で水揚げはほぼゼロ。燃料代と見合わず、操業を中断している。ちなみに冒頭の大型船(100トン以上)は往復で数日かかる公海で操業し、同20日に解禁されたばかりだ。

「サンマショック」はさらに広がりそうだ。岩手県大船渡市で8月25日に開かれた、東日本大震災の復興支援へのお礼として新鮮な生サンマを焼いて無料でふるまう恒例イベント。初めて冷凍物を扱う事態となり、実行委員会の鎌田和昭会長はこう話す。

「わずかに水揚げした細い生サンマよりも、脂の乗った昨年の冷凍物の方が喜んでもらえると考えた」

全国さんま棒受網漁協(東京都港区)によると、さんまの大群が北海道沖やロシア海域に現れていないという。海水温が上昇し、低温を好むサンマが日本沿岸から離れているとの説が有力だ。

遠い公海では中国や台湾の1000トン級の大型船が長期間帰港せずに操業する。「中国船などは船ですぐに冷凍する。まだ日本は船種を問わず基本的に氷水で持ってきて港で生や冷凍に分けています」(大石浩平同漁協専務理事)。とはいえ、日本も"中国型"への移行が不可避かもしれない。将来、冷凍サンマしか食べられなくなる日が来るのか。(粟野仁雄)

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