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2019年9月 8日号
俳優・江原真二郎、中原ひとみ夫妻 "ポジティブな諦観"で暮らす その穏やかな日々
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◇「今日一日を大切に生きればいいと思うんです」

◇「ありきたりではない、最期の言葉を遺したい」

「病気になってからのほうが、おしゃべりになったんですよ、この人は」と笑う妻。夫は「こんなに幸せな日々はないよ。早く役者復帰したいね」と語る。お互いに感謝の気持ちを言いながら、二人で紡ぐ「やすらぎの時間」。

「娘が横浜にマンションを買うという時に、パパとママもこっちに来れば?と言われたんです。だんだんと行き来もできなくなるだろうし、一軒家だと維持も大変。それで隣の棟に引っ越してきたのが5年前のことなんですよ」

そう中原ひとみさん(83)が話す現在の住まいは、横浜郊外の丘の上に建つ瀟洒(しょうしゃ)なマンション。窓からは横浜ベイブリッジ、遠くは箱根までが一望できる。

結婚してまもない夫妻が都内練馬区にある東映大泉撮影所で仕事をしていた当時、所長の勧めで会社からお金を借り、仕事場に近い石神井公園の池の端に家を構えた。ここで1男1女にも恵まれ、仕事もプライベートも充実した日々を送る。1972年からは、歯磨き粉のCMに親子4人で出演したのを記憶されている人も多いだろう。理想的な家族の姿が印象的だった。だが、長男の歩さんが26歳だった90年、交通事故で亡くなるという不幸もあった。

「悲喜こもごも、さまざまな思い出の詰まった家と土地を離れるのは寂しい。当初はそう感じていましたが、でもね、住めば都ですよ」

引っ越すにあたっては、マンション仕様にサイズダウンするため、家財道具の8割を処分したというから驚く。

「だから、厳選して持ってきたものばかりなの。好きなものに囲まれて暮らすのは気分もいいし楽しいわ」

◇予兆に気づかずパーキンソンに

だが、そんな穏やかな老後を送っていた2年前、江原真二郎さん(82)がパーキンソン病を発症する。

「二人で横浜スタジアムに野球を見に行ったのね。その時、この人が転んで顔を打っちゃった。出血もあったんですけど、医務室で手当てしてもらってそのまま観戦を続けたの」

あとから考えれば、あれが病気の兆しだったと中原さんは振り返る。

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