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2019年9月 1日号
一筋縄ではいかない家族の「お金の終活」
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第25弾 ケース別 一筋縄ではいかない家族とお金 前妻の要望で遺言書、愛人の子にお金を残したい...

血縁の有無と愛情の大小が一致するとは限らない。だが相続上は"血縁ファースト"。配偶者は別として、血のつながらない相手に財産を譲りたいと考えていても、何も残してやれないのだ。そこは遺言や家族信託、養子縁組を活用し、思いをカタチにしておきたい。

初婚で子どもが2人―そんな家庭がスタンダードとされたのも今は昔、家族のカタチは多様化している。夫婦の一方もしくは両方とも再婚のケースが結婚全体に占める割合は、1975年が12・7%だったが、2015年には26・8%(16年度厚生労働省の人口動態統計)と2倍以上に増えている。

つまり、結婚している人の3割近くに「元妻」や「元夫」がいる計算だ。

配偶者は常に相続の権利を持つ法定相続人になれるが、元配偶者といえばそうはいかない。たとえば自分の死後、元妻や血縁関係のない人にお金を残したいなら一手間も二手間もかかるものだ。血がつながっていなくても、家族ではなくても、離れて暮らしていても、大切な人にできることは何か。さまざまなケースを通じ、考えてみよう。

◇ケース<1>愛人との子を「遺言認知」し「家族信託」でお金を残す

「家庭に僕の居場所はありません。彼女に愛想を尽かされたら人生の終わりです。彼女に信じてもらうにはどうしたらいいのか......」

こう嘆くのは55歳の横山義弘さん(仮名、以下同)。会社経営者で年収3000万円というのは、恵まれた環境には違いない。だが、結婚25年目の妻との関係は完全に冷え切っており、別に"愛人"がいるのだ。

その女性とは6年ほど前、沖縄のリゾート開発の仕事を通じて知り合い、男女の仲になった。夫婦同然の暮らしを始め、昨年、彼女が義弘さんの子を出産。妊娠が発覚した時点から現在まで、義弘さんは毎月30万円の養育費を彼女に渡し、彼女が仕事に復帰してからも毎月10万円の支払いを約束した。

ところで認知と養子縁組はどちらも「自分の子であると認める戸籍上の行為」だが、何が違うのか。

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