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2019年8月11日号
ドナー登録急増も提供は拒否? 骨髄バンク「ツイッター」で物議
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 競泳の池江璃花子選手(19)が2月に白血病で闘病中と公表、骨髄などのドナー登録が急増している。日本骨髄バンクによると、2月の登録者は1万1662人に達し、例年の月間2000~3000人に比べて大幅に伸びた。だが、提供を断る事例が相次いでいると指摘される騒ぎが起き、話題となっている。

〈今後、骨髄・末梢(まっしょう)血幹細胞の提供のご意思のない方につきましては、『登録取消』をお申し出いただきますようお願いいたします〉

 日本骨髄バンクは7月上旬に発行した会報誌で、ドナー登録者にこう呼びかけた。骨髄の提供や移植に応じる意思がない登録者らに、登録の取り消しや保留の手続きを行うよう求める内容だった。

 だが、会報誌と前後して骨髄提供を待つ患者が〈池江選手のおかげで登録者は増えたが、みなさんそこまでの覚悟はないようで、断られ続けている〉とツイッターに投稿。これが物議をかもしたのだ。

 骨髄移植は白血病の治療の一つ。患者とドナーの白血球の型を合わせる必要があり、患者が第三者からの提供を望む場合、同バンクが登録者の中から型の合う人を探し、仲介している。だが、検査や面談の過程で提供が断られるケースも少なくない。同バンクによると、最終的に移植に至らなかった割合は2018年に約4割に上った。

 ただし、同バンクの広報担当者は「池江選手の公表をきっかけに登録していただいた方が相次いで提供を断っているというわけではありません」と話す。登録者の手元に提供の意思を確認する書類が届くまでには最短でも3カ月かかるため、「池江効果」が生んだ多数の登録者の「拒否」が相次いでいるとは考えにくい。

 とはいえ、「登録者数自体が増えたことで今後、提供を断る人の数も増える可能性があるのは確か」(同)。実は、同様の告知は昨年末に発行した前号の会報誌でも行っていた。同バンクは、これからも呼びかけを続けていきたいという。(葉月利雄)

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