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2019年7月28日号
沖縄「辺野古」巡るフェイク発言疑惑 参院選「安倍首相発言」真偽は?
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参院選が公示された7月4日のNHKの番組で、安倍晋三首相から不正確な発言が飛び出した。米軍普天間飛行場(宜野湾市)を名護市辺野古に移設することで「航空機の飛行経路が住宅地上空から海上に変わる」と述べ、地元メディアからは怒りの声が上がっている。

沖縄防衛局の「普天間飛行場代替施設建設事業に係る環境影響評価書」では、「代替施設の運用等」の「飛行経路」(2-11)の項で〈気象(風向き、視界及び雲の状況)、管制官の指示(間隔及び順序)、安全(緊急時)、パイロットの専門的な判断、運用上の所要等により、航空機は図示された場周経路から外れることがある〉と記されている。
つまり影響評価書を踏まえた発言とは言いがたい、というわけだ。事実、普天間飛行場周辺では場周経路を外れた飛行が日常化している。『沖縄タイムス』東京報道部の大城大輔記者がこう話す。
「安倍首相は番組の中で、辺野古に移設すれば普天間の危険性は除去できると何度も強調していた。正確でない情報が全国中継のNHKで放送されると誤解を生み、『辺野古は安全なのに、なぜ沖縄県民は移設に反対しているのか』という意識が国民に浸透しかねない。情報の独り歩きが、辺野古移設を肯定する世論形成につながる恐れがある」
ちなみに地元紙は殊に選挙期間中、いわゆる「ファクトチェック」に力を入れる。近年の沖縄の選挙にはソーシャルメディアを発信源にしたフェイクニュースが目立つからだ。たとえば昨秋の沖縄県知事選では、玉城デニー候補(現知事)に「大麻の使用歴がある」と相手陣営が拡散。もちろん、事実とは異なる。
安倍首相は7月3日の党首討論会でも、普天間飛行場周辺の防音設備のある住宅を「千数百世帯」と述べたが、これもまた国会での政府答弁(「1万数千に上る」)などと食い違っている。国民を欺く発言が多すぎる。
(友寄貞丸)

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