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2019年5月26日号
令和元年の「関ケ原」! 参院選124議席「当落」全予測
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「改憲勢力」3分の2届かず 安倍政権の命運は―?

▼自民単独過半数割れで1人区22勝10敗

▼野党統一でも「勝てない選挙区」

▼「8・4衆参ダブル」へ動く?「安倍・麻生会談」

統一地方選、参院選が続く「亥年選挙」の前回2007年、参院選で惨敗した安倍晋三首相は退陣に追い込まれた。永田町では「衆参同日選」の臆測が飛び交うが、令和元年の「関ケ原」、夏の参院選は勝ち戦か負け戦か。"選挙のプロ"の完全予測をお届けする。

「今だけ、金だけ、自分だけ。そんな風潮が社会にまん延しています。今の政治に、長期的な展望や理想もありません。未来に期待が持てないからこそ、国民の政治離れが進んでいます」
60年近く日本政界をウオッチしてきた政治評論家の森田実氏は、4月の統一地方選の結果に愕然(がくぜん)とした。
「投票率が50%を切る現状を真剣に反省しないといけません。有権者の一部しか投票しないなら、議員は自分に都合のいい人にしか目を向けなくなります。それは、昨今の永田町や霞が関でまかり通る"忖度(そんたく)"そのものです」(森田氏)
41道府県議選の平均投票率は44・02%と過去最低で、34府県で50%に届かなかった。最も低かったのは埼玉県の35・52%だが、これは大都市圏に限ったことではない。地方に目を向けると、香川県は前回の48・64%から10ポイント以上も減らし、38・40%と投票率の減少幅が全国最大だった。
「投票率が60%、70%になるよう政治が手を打たなければなりませんが、野党の"根無し草"状態も影響しています。旧民主系の分裂で、地方の支持組織が崩れていることも深刻です」
森田氏は、野党衰退を指摘する。実際、41道府県議選の結果を見ると、自民党が25議会で単独過半数を獲得し、大阪府を除く40道府県で第1党を確保した。一方、立憲民主党と国民民主党の合計当選者は201人で、旧民主党から前回当選した264人を大きく下回った。これが"根無し草"の実態で、全都道府県に議席があった共産党は、愛知県で議席を失ったのだ。
「夏の参院選に向けては、与野党とも道府県議選を重視していました。参院選は都道府県ごとに45選挙区を分けた選挙区制です。選挙の実動部隊となる地方議員の数は、参院選の結果に左右するからです」(永田町関係者)
果たして今回の「亥年(いどし)選挙」、統一地方選に続く参院選の行方はどうなるのか。そこで本誌は、選挙プランナーの三浦博史氏に、参院選124議席の当落について予測してもらった。まずは、参院で単独過半数を上回る122議席を有する自民党について、三浦氏がこう解説する。
「改選議席では選挙区で39議席、比例で18議席を獲得し、非改選と合わせると9議席減の113議席と予測しています。安倍内閣長期政権への批判票は確かにありますが、野党に勢いは見られず、自民の善戦と言えるでしょう」
自民党は単独過半数割れするものの、連立与党を組む公明党が組織をフル回転させて3議席増やし、非改選と合わせると28議席と予測。その結果、自民、公明の与党で議席減は6にとどまるという見方だ。与党で141議席を獲得し、過半数の123を上回るとともに、各委員会で委員長を独占するのに必要な議席数である絶対安定多数も実現する見通しというのだ。
「安倍首相は勝敗ラインについて、前回16年の参院選と同じく『改選定数の過半数を自公で確保する』と打ち出してくるでしょう。12年前の惨敗という『悪夢』を一日たりとも忘れたことがないと公言する首相のこと。自民単独過半数割れの批判をかわすため、予防線を張るのは常とう手段です」(政治ジャーナリスト)
一方の野党は、立憲民主党が選挙区、比例で計22議席を獲得し、非改選と合わせて13議席増の37議席となり、議席数では公明党を上回る。他の5党はほぼ横ばいで、非改選と合わせると国民民主党は2減の22議席、共産党は1減の13議席、日本維新の会は1増の13議席と予測した。
「投票率は低く、52%を想定しています。統一地方選の投票率も低調でした。参院選も目玉候補や争点が乏しく、前回をやや下回るでしょう」(三浦氏)

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