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2019年2月17日号
小沢一郎、我が闘争 野党共闘か、さもなくば死か――
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倉重篤郎のニュース最前線

統計不正から外交まで、問題が噴出する安倍政権をどう攻めるか。野党の陣形が問われるなか、自由党と国民民主党が統一会派を組むことが明らかになった。ここからどう本格的な野党共闘に向かうべきかを、政権打倒に懸ける小沢一郎・自由党共同代表と、玉木雄一郎・国民民主党代表に聞く。

2019年政治決戦のスタートとなる通常国会が始まった。統計不正問題の真相究明から外交・安保政策まで論点、争点は満載だ。野党がどう攻め、政権がどう守るか。その結果が4月の統一地方選・衆院補選、夏の参院選に跳ね返る選挙国会となる。その中で、ある注目すべき動きが野党陣営内で出始めた。国民民主党と自由党の合流問題である。
玉木雄一郎・国民民主党代表と小沢一郎・自由党共同代表が会談し、衆参両院で統一会派を組むことで合意した。両党の合流をめざし、政策協定を結ぶための協議に入ることも申し合わせた。これに連動して立憲民主党と社民党が参院で統一会派を組むことになった。安倍(晋三首相の)1強政治に対して分裂と対立を繰り返してきた野党陣営がわずかではあるものの、やっとのこと合従連衡に向け一歩を踏み出した、といえる。
もちろん、シニカルに受け止める向きある。小沢氏に対する警戒感から、とても合流には届くまい、老練小沢氏に若い玉木氏がだまされるだけ、とかである。
ただ、二つの意味で注目したい。一つは、国民民主党の事情である。同党が極めて厳しい環境にあるのは、その支持率が1%に張り付き微動だにしないことからも明らかだ。何よりも知名度が上がらない。このまま参院選に突入すると、「まるで日露戦争の二百三高地と一緒で、トーチカと銃に対する抜刀白兵戦で候補たちがバタバタと倒れゆくのは必至だ」(関係者)という。譬(たと)えは悪いが、そこまで追い込まれている。
窮鼠(きゅうそ)猫をかむ、という言葉もある。ましてや、この党の共生を旨とした中道改革路線は、これからの日本政治にとってそれなりのニーズもある。背水の陣を敷き、乾坤一擲(けんこんいってき)の勝負に自らを追い込むことによって政治エネルギーもまた異次元化するかもしれない。
もう一つは、小沢氏の最後の闘いへの関心である。いまや議員6人の小党代表ではあるものの、平成30年間の大政局では一貫して中枢にいた。1992年経世会分裂、93年細川護熙政権成立、2009年鳩山由紀夫政権誕生、12年民主党分裂......。平成最大の政界仕掛け人であることに異論はあるまい。その小沢氏が「何としてでももう一回政権交代を実現させ日本に議会制民主主義を定着させたい。それまでは死ねない」との執念を燃やす19年政治決戦である。その終着点をウオッチするのもこの時代に生きた政治記者の仕事であろう。壊し屋ではなく作り屋としての経験、手腕がどう出てくるか。小沢氏を直撃した。合流を持ちかけた玉木氏にも狙いを聞いた。

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