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2018年10月14日号
「豊洲移転なら健康が蝕まれる」築地仲卸業者らが差し止め提訴
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築地市場(東京都中央区)の仲卸約50業者とその家族計56人は9月19日、豊洲市場(江東区)への移転差し止めを求める訴訟を東京地裁に起こした。同時に仮処分も申請した。豊洲市場の開場が10月11日に迫る中、原告側は「豊洲の土壌汚染は解決されておらず、食の安心・安全は確保されていない」としている。
訴状などによると、都は豊洲市場の土壌や地下水の汚染を「無害化」する約束を果たさず、「土壌汚染対策が不十分な豊洲市場に移転すれば、消費者の不安も大きくなり、仲卸業者らは営業上大きな打撃を受け、事業を継続することが困難となり、生活が脅かされる」としている。重ねて、「日常的に豊洲市場で働く仲卸業者らは健康が蝕(むしば)まれ、身体・生命の安全が害される危険性が大」として、憲法で保障されている人格権が侵害されると主張している。
山口タイ原告団長(「築地女将さん会」会長)は記者会見で「今もって多くの関係者が全く納得しておりません。移転計画は全部ウソと偽り」と語気を強めた。
築地市場は、10月6日に営業を終え、同18日には全面閉鎖される。だが、原告の中には、閉鎖後も豊洲市場から荷物を運んで販売を続ける予定の業者もいる。「営業している以上、(都は)入り口の閉鎖はできない」(仲卸業者)
小池百合子都知事は9月21日の定例会見でこう語った。
「専門家会議による検証や必要な追加対策工事を行い、一連のステップを経た。『安全・安心な市場』として開場する条件を整えている」
これとは別に、都内の60代男性が9月3日、築地市場の解体工事を巡る今年5月の3件の入札(計約27億7700万円)に関して、22億9000万円以上の調達に国際的な入札を義務付ける世界貿易機関(WTO)政府調達協定違反があったとして、契約解除と工事を行わないよう求める住民監査請求を申し立てた。市場移転はギリギリまでもめそうだ。
(加藤順子)

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