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2018年9月30日号
「10・11開場」まであと1カ月...豊洲市場で亀裂と陥没見つかる
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10月11日の開場を前に、農林水産省は9月10日、築地市場(東京都中央区)の移転先となる豊洲市場(同江東区)の開設を認可した。だが、その翌日に豊洲市場の水産仲卸売場棟西側で地盤沈下に伴う陥没や亀裂が見つかり、業者の間で動揺が広がっている。
事態を把握しながら公表しなかった東京都は「想定内」として、同13日には小池百合子都知事らが出席した開場式典を行った。一方で亀裂などの状態を確認しようと市場を訪れる業者は後を絶たない。
業者が憂慮するのは、市場敷地内の土壌汚染だ。都は石原慎太郎知事時代、市場業者や都民に「無毒化」を約束し、約850億円かけて対策をしたが、その後のモニタリング調査では、環境基準を超えるベンゼンやシアン、ヒ素が検出され続けている。
無毒化の失敗は、移転中止の理由にならなかった。小池知事は、汚染を残したまま拡散防止対策を指示。その工事が完了し、「豊洲市場における土壌汚染対策等に関する専門家会議」の平田健正(たてまさ)座長(放送大学和歌山学習センター所長)が7月30日の会見で「安全は確保された」と述べ、翌日の知事による「安全宣言」につながった。
今後、地下水の監視と、業界や消費者団体、土壌汚染の専門家らによる対話の場は、「土壌汚染対策工事と地下水管理に関する協議会」(細見正明座長、東京農工大大学院教授)に引き継がれる。専門家会議は今夏の地下水モニタリング結果にコメントした後に役割を一旦終える見通しだ。
移転延期からの2年間、安全対策に必須の盛り土や採水の問題などが発覚。だが協議会は2016年6月以降の2年以上も、なぜか休業状態にある。取材時点でも「未定」(都の担当者)で、地盤沈下についても委員に一切報告がないという。細見座長は「都には2年前から次回開催を求めてきた」と言い、土壌汚染が専門の丸茂克美委員(富山大教授)も「協議会は開くべき」と話す。今すぐ開催すべきではないか。
(加藤順子)

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