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2020年10月18日号
米国 米最高裁判事が加入する謎の「信仰団体」を有力紙も問題視
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トランプ米大統領が最高裁判事に指名する方針を固めたエイミー・バレット連邦控訴裁(高裁)判事(48)の信仰が議論の的になっている。9月29日付『ワシントン・ポスト』(電子版)は〈バレット氏とほとんど知られていない信仰団体の関係について強い疑念が持たれている〉と記した。

同記事によれば、団体の名称は「ピープル・オブ・プレイズ(賛美する人々)」。1960年代に米国で発足し、主にカトリック信者1700人ほどからなる。メンバーは日曜日にカトリック教会のミサに出席した後、同団体の会合に出るという。同記事は、「賛美する人々」を含め60年代に出現した信仰集団のメンバーは「任務を果たすためにはなんでもする」と指摘する教会史専攻の学者の談話を載せた。

バレット氏自身は敬虔(けいけん)なカトリック教徒であり、米国で重要な政治的争点の人工妊娠中絶については、教団と同じく反対の立場だ。米国のキリスト教徒のうち33%はカトリック、残る67%はトランプ氏の支持層である福音派を含むプロテスタント諸派を信仰する。カトリック信者は米国のキリスト教徒の中で少数派だ。

カトリック信者が政治の要職に就くことには反発があった。カトリック信者として唯一の大統領だったケネディもそうだ。バレット氏が連邦控訴裁判事に指名された2017年には、民主党上院議員が信仰を問題視した。「カトリック信者は政治に関し、神父や教皇の指示を受けるから信用できない」という〝古臭いパラノイア〟を呼び起こしかねない、という発言だった。

ただ、前出の記事によれば、最高裁判事の宗派別内訳はカトリック5、ユダヤ教2、聖公会1。カトリック信者は多数派であり、バレット氏が問題視されるのは、〝異質な信仰団体〟との関係のようだ。

実は民主党の大統領候補であるジョー・バイデン前副大統領もカトリック信者。当選すれば2人目のカトリック大統領となる。

(土方細秩子)

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