サンデー毎日

コラム
青い空白い雲
2021年2月14日号
新型コロナの〝数字〟は大本営発表並みの「噓八百」である!
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牧太郎の青い空白い雲/802

 どうにも「数字」が信じられない。

 例えば、アメリカ大統領選。バイデン新大統領が約8100万票を獲得した!というのだが......信じられない。

 人気爆発のオバマ時代、彼は2008年に約6900万票、2012年に約6600万票。2016年のトランプは約6300万票。比べると「8100万票」は驚異的な数字ではあるまいか?

 異例の郵便投票が投票率を上げたとしても多すぎる。選挙中「地下室に引き籠もっていた」と囁(ささや)かれた77歳(当時)の〝年寄り〟が史上最多の得票? トランプの「言い分」を支持するわけではないが、意外だ。

 昨今の「コロナ関連の数字」はもっと信じられない。お上が発表する「数字」に首を傾(かし)げている。

 事実、神奈川県が発表していた「最大確保病床数」(感染拡大のピーク時に患者を収容できるベッドの数)は「1939床」だったが、これは真っ赤な噓(うそ)。昨年4月の時点で、各医療機関が「確保可能」とした病床数を足しただけの「計画上の数字」。本当は(今年1月中旬の時点で)入院者数は961人。入院可能の「空きベッド」は何と117床しかなかった。

 毎日午後3時ごろ「新型コロナの新たな感染者は〇〇人」「死者は〇〇人」と発表される。でも、コレ、本当なのか?

 戦時中の「噓八百の大本営発表」を思い出した。僕が生まれた1944年(昭和19年)10月、台湾沖航空戦に関する大本営発表は......5日間の航空攻撃で「敵空母11隻、戦艦2隻、巡洋艦3隻を撃沈、空母8隻、戦艦2隻、巡洋艦4隻を撃破」とある。

 アメリカ機動部隊を壊滅させる大勝利? 昭和天皇からは戦果を賞する勅語が出されたが......本当のところ、アメリカの空母や戦艦は1隻も沈んでおらず、日本軍は惨敗だった。

 政府のコロナ情報も(70年以上前の)大本営発表と大差ないように思えてならない。正直言って「感染者数」が少なすぎる。

 大本営発表も最初からデタラメだったわけではない。真珠湾攻撃の戦果は、航空写真を綿密に確認するなどした上で、3度も修正している。それがいつの間にか「現場軽視」が原因なのか、噓八百の発表になってしまった。

「コロナの数字」も初めは正確だったと思う。しかし、PCR検査が不十分で「感染状況の実態」はお上の発表とかけ離れている。

 近代日本は70~80年ごとに変化を迎えてきた。明治維新、太平洋戦争、そして新型コロナ。いつの時代でも「権力」は数字を誤魔化(ごまか)し、人々を騙(だま)す。気を付けようじゃないか!

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