サンデー毎日

コラム
青い空白い雲
2020年10月11日号
ニューヨークの地価暴落!コロナ禍で東京のタワマン神話は?
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牧太郎の青い空白い雲/785

最近「ヒューリック」という名前を2度、聞いた。

一つは天才棋士「藤井聡太君」の話。藤井君は17歳の若さで「棋聖」というタイトルを獲得。明るい話題を提供してくれたが、この「棋聖戦」(産経新聞社主催)にカネを出しているのが「ヒューリック」だ。昨年から女流タイトル戦の「清麗戦」を主催しているから「将棋好きのお大尽」なのだろう。(清麗戦の優勝賞金は700万円!と高額)

もう一つ、不動産関係の業界紙で「ヒューリックが東京都中央区のティファニー銀座本店ビルを取得した!」という記事を読んだ。世界的に有名な宝飾品のブランド(1837年、アメリカで創業)の東京の拠点が「謎のヒューリック」に買収された。一体、どんな会社なのか?

調べてみると、この会社、1957(昭和32)年創業。主に富士銀行(現:みずほ銀行)が関係する物件を賃貸する会社で「日本橋興業株式会社」と名乗っていたが、2007年〈HUMAN・LIFE・CREATE〉の頭文字から、商号を「ヒューリック株式会社」に変更した。都心の一等地に立地する物件ばかりだから平均空室率は1%以下。知り合いの不動産屋さんの話では「奇跡的な数字」らしい。

それにしても、銀座の一等地が売買されるのは極めて珍しい。新型コロナ騒動と無関係ではないだろう。今、世界各地の不動産事情が急変している。例えば、感染が激しかったニューヨーク・マンハッタンのマンション販売価格は低下(4〜6月期)。2001年の同時多発テロ事件の時でも、不動産価格はピクともしなかったのに......東京はどうだろう?

「土地は絶対に値下がりしない」という土地神話は1990年代のバブル崩壊で崩れたが、アベノミクスが始まった2013年以降、都心や湾岸エリアのマンション価格は上がり続けた。タワーマンションを買っておけば必ず値上がりする!という「タワマン神話」?

ところが、コロナで、「憧れ」だったタワマンに「致命的な弱点」があることが分かった。「エレベーターの3密」である。あるマンションは「5人まで」という利用制限。途中で乗り込む中層階居住者は運が悪ければ10分、20分も待つことになる。

だからタワマンから引っ越す人もいる。都心や湘南、千葉県の九十九里などで新築戸建ての販売は絶好調らしい。

とはいえ、100年前のスペイン風邪も約3年でほぼ終息。コロナ騒動も必ず終わる。

その時、東京の土地は?

お金持ちは「格安物件」を買い漁(あさ)っている!という情報もあるのだが。

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