サンデー毎日

コラム
青い空白い雲
2020年9月27日号
超人気〝令和の田中角栄〟は「コロナ7業種」を救えるか?
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牧太郎の青い空白い雲/783

テレビ番組がかなり意識的に「秋田生まれの苦労人」の映像を流したので、普段、苦虫を嚙(か)み潰したような表情の菅義偉さんの人気が爆発した。まるで〝越後生まれの貧乏人のセガレが天下を取った田中角栄(元首相)物語〟を見ているようだ。

菅ダントツ人気の自民党総裁選。多くの日本人が世襲議員の〝体たらく〟にうんざりしているからだろう。

評判通り、菅さんが「貧乏人の味方」であれば良いのだが......「安倍政治継承」ということになると話は別だ。

例えばコロナ対策である。俗に言う「コロナ7業種」......今にも潰れそうな(1)陸運(2)小売(3)宿泊(4)飲食サービス(5)生活関連サービス(6)娯楽(7)医療福祉......を救うことができるのか?

「コロナ7業種」は中小零細企業が占める比率が大きい。資金繰りが苦しい。生産性が低い。従って低賃金。つまり「コロナ7業種」は元々、非正規雇用率が高い「経済弱者」なのだ。

安倍政権は「7業種」を救う対策を持ち合わせなかった。確かに持続化給付金は一時的に役に立った。2次補正予算で計上された家賃支援給付金は不動産市場への公的資金の注入という効果も含め「7業種」の負担を軽くしたが、それも焼け石に水。「コロナ7業種」は冬に向かって、ギブアップ寸前だ。

コロナ禍で、大企業と中小零細企業の格差はさらに拡大した。自己資本比率が高い大企業は生き残り、さらに投資に回す。

この格差は、7年8カ月に及ぶ安倍長期政権が「富裕層」と「大企業」のためだけの経済政策を続けたからだ。

「子供騙(だま)し」じゃあるまいし、貧乏人には「使い物」にならないアベノマスクを配るような「インチキ政治」を今になっても継承するなんて......菅さん!(官房長官だった立場は分かるが)あんまりだ!

アベノミクスは失敗だった。物価がプラスになっても、賃金上昇が追いつかない。デフレ脱却!と叫んでも、今の日本は慢性デフレ病にかかっている。非正規雇用の比率が高くなればなるほど「病」は悪化する。

菅さんは「消費減税はない」と言っているようだが、コロナ不況を乗り切るためには「減税」しかないだろう。

前回〈安倍退陣!今井さんら側用人に「半沢直樹」並みの倍返し?〉と書いたが、菅さんも「側用人政治」を継承するのか?

杉田和博官房副長官、和泉洋人首相補佐官、北村滋国家安全保障局長......それに、まさかの今井尚哉(たかや)首相秘書官。

もしかして「令和の田中角栄」が頼りにするのは「側用人4人組」だったとしたら......最悪だ。

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