サンデー毎日

コラム
青い空白い雲
2020年8月30日号
「今井首相補佐官vs.菅官房長官」の最後のコロナ戦争?
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牧太郎の青い空白い雲/779

前回、今井尚哉(たかや)首相補佐官兼秘書官の話(「命より稼ぎ!『悪夢のような経産省内閣』が国をダメにした?」)を書いたら、読者から「今井?知らなかった。なぜ、メディアは書かないのか?」と質問された。

なぜ、書かないのか?は当方にも分からないが、確かに、メディアに「今井首相補佐官」は登場しない。しかし、各国は「圧倒的な影響力を持つ日本の経済官僚」の存在を知っている。

「軍事経済官僚」の権限が一段と強化された昭和初期、彼らの拠点は内閣調査局と内閣資源局だった。日中戦争勃発後、さらに強力な重要政策を立案するため、1937年、二つの組織が統合。強大な「企画院」が発足した。

それは物資を調達する国家総動員機関。同時に総合国策企画官庁。彼らが日本国民を完全支配し、第二次世界大戦に突入した。

敗戦後「企画院」の面々(経済官僚)は公職追放でも生き残り、大蔵省、通産省、経済企画庁を拠点として、行政指導、許認可、予算......あらゆる面で「チカラ」を発揮した。とはいっても、いまだに日本という国は「アメリカ従属」。経済官僚はコレが我慢できない。

これから先は、当方の想像だが......安倍晋三首相と今井補佐官の野望は国会(国民)を無視して「官邸官僚政治」を展開、究極的にはあの「無敵の企画院」を作りたいのではあるまいか?

そんな気がする。もちろん、憲法改正とも無縁ではない。だからアメリカが注目しているのだ。

   ×  ×  ×

そんな中で「新型コロナ」騒動が起こった。

必要がなかった「一斉休校」が強行された時「戦時中の企画院」を思い出した。役に立たない「アベノマスク」を配ったことに「国家総動員」を思い出した。

「感染拡大を国民から隠す」やり方に「全体主義」を感じた。

ところが、このところ、安倍内閣の中で(元々燻(くすぶ)っていた)対立が表面化した。菅義偉官房長官が「感染拡大を国民に慣れさせる」やり方を主張したのだ。

どちらも、国民不在の議論?ではあるが「今井首相補佐官vs.菅官房長官」の争い!と見ると面白い。

もちろん「ポスト安倍」が絡む。岸田文雄(政調会長)か?石破茂(元幹事長)か?それとも菅官房長官なのか?(「ポスト安倍は安倍」という見方もちょっぴり、あるらしいが)

菅さんはやる気満々?対して官邸官僚たちは「岸田なら安倍院政」と睨(にら)んで、それなりのポストを期待する。

夏から秋。首相補佐官vs.官房長官の戦いが最終局面を迎える。その勝敗の行方は......多分、「新型コロナ」にかかっている。

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