サンデー毎日

コラム
青い空白い雲
2020年6月14日号
プロ野球がセーフで「夏の甲子園」がアウトなら箱根駅伝は?
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牧太郎の青い空白い雲/769

「夏の甲子園」中止に腹が立っている。

球児の安心・安全に最大限配慮?冗談じゃない。雨にも負けず、風にも負けず、新型コロナにも負けず!が「教育」じゃないか!

春のセンバツが中止になったのはやむを得なかった。新型コロナの正体がまるで分からなかったからだ。「この悔しさを夏に晴らそう!」と言うしかなかった。

しかし「敵の正体」はかなり分かってきた。人類はこのウイルスと上手に共存するしかない!と分かった。

夏の甲子園は上手に共存する「チャンス」ではなかったのか?一概に「教育の一環だから中止」は間違っている。春夏連続中止で〝引退〟させられる3年生があまりに可哀そうだ。

無観客試合でいいじゃないか!

球児の父母、両校の部員だけ、せいぜい、観客500人ぐらいでやればいいじゃないか。離れて座れば問題ない。

しかも、プロ野球のように密室ドームではない。甲子園はいつも「大空」だ。

「無観客」では儲(もう)からない!という向きもいる。しかし、夏の甲子園は儲けている。昨年は約6億6000万円の入場料売り上げがあり、約2億1000万円も剰余金(利益)が出た。高野連の決算報告書(2018年度)によれば、約17億円もの純資産を持っている。無観客でも開催できる「体力」は十分ある。

まあ「夏の甲子園」には勝利至上主義、炎天下のピッチャー酷使、公立高校の野球離れ......と批判があるが「夏の風物詩」であることは間違いない。

経済的にも「春夏連続中止」は痛い。甲子園の経済波及効果を受ける球場周辺のホテルや飲食店などは大きな痛手だ。関西大名誉教授の宮本勝浩氏(理論経済学)は、夏の甲子園大会が中止になった場合の経済的損失が約672億円になると試算した。センバツの中止による損失額(約290億円)と合わせると実に1000億円が消える。

6月から、プロ野球の無観客試合が始まるらしい。夏の甲子園がアウト!で、プロ野球がセーフ?「3密」のドームが許されて、紫外線たっぷりの甲子園がアウトなのか?

これは、コロナ禍があちこちにばら撒(ま)いた「不公平」の最たるものではないか?

ちょっと早い話だが、気になるのは冬の風物詩・箱根駅伝である。正月の開催時、コロナの第2波とインフルエンザが、ちょうどその頃、揃(そろ)ってやってくる可能性大?

あえて言う。「夏の甲子園」も「冬の箱根駅伝」もコロナと闘い、堂々と実施すべきだ!と僕は考えているのだが......読者の皆さんは?

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