サンデー毎日

コラム
青い空白い雲
2020年4月19日号
もっと強気に行け!の安倍流で「コロナ戦争」に勝てるのか?
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牧太郎の青い空白い雲/763

無知と言おうか、無恥と言おうか、安倍晋三首相は相変わらず、おっちょこちょいである。

例の「昭恵夫人のお花見」騒動。国会で「花見自粛要請中、昭恵夫人がグループで花見をしている写真がネットに出回っている」と言われて「東京都が自粛を求めている公園での花見のような宴会を行っていた事実はない。レストランの敷地内の桜の下で記念写真を撮っただけ」と答えた。

ばかじゃないのか?

「新型コロナ」で、世界中の国々が、同時多発的に生き残りをかけ闘っているのに......。

ともかく、安倍さんはいつも「強気」だ。

今から3年前の2017年春、国会では学校法人「森友学園」への国有地タダ同然売却問題を巡り、財務省の佐川宣寿理財局長(当時)が野党の質問攻めにあっていた。すると、首相の秘書官が佐川さんに歩み寄り、1枚の小さなメモを手渡した。

「もっと強気で行け。PMより」

「PM」は「プライムミニスター」、すなわち首相である。

佐川さんはこの〝命令〟に従い、もっと強気に「近畿財務局と森友学園の交渉記録はございません」と言い続けた。

それがキッカケで、財務省は「公文書改ざん」に手を染め、善意の職員の一人が自殺した。

自殺した職員の手記が公表され、疑惑が再燃する最中、渦中の夫人は芸能人らと〝桜を見る会〟を楽しみ、その揚げ句、強気の亭主が〝常識外れ〟の女房の味方をする。ふざけるな!である。

保身が最優先!の安倍政権はいつもトンチンカンである。

「コロナ不況で当面の支払いに困る人をどうするのか?」と言われて、お肉券を配るとか、お魚券を配るとか、スイカにポイント付与するとか......。「お魚券で家賃が払えるか!」と言いたくなる。

もっと心配なことがある。安倍さんは「スタグフレーション」という言葉をご存じだろうか?

景気停滞を意味する「スタグネーション」と、物価上昇の「インフレーション」を組み合わせた合成語。普通、不景気で需要が落ち込むとデフレ(物価下落)になるが、原油、原材料、素材などの価格が上昇して、不景気なのに物価が上昇することがある。これがスタグフレーション、悪いインフレである。

クビになった人もいるのに物価が上昇。資産価値が減っていく。この最悪な経済状態を防ぐことができるか?正念場だ。

多分「コロナ戦争」に勝者はいないだろう。安倍さん、国民と一緒に「貧乏くじ」を引いたのだから「強気」は諦めて、少しは謙虚になろうじゃないか!

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