サンデー毎日

コラム
青い空白い雲
2020年4月12日号
〝コロナの女王〟を虐めるより「兵糧479兆円」の使い道を!
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牧太郎の青い空白い雲/762

情報番組で一躍「コロナの女王」に祭り上げられた岡田晴恵さん(白鷗大教授)にネット上で〝嫌がらせ〟が続いているらしい。

例えば「岡田晴恵は薬剤師で医師ではない!」。岡田さんは共立薬科大大学院出身で、医学博士。ドイツのマールブルク大医学部ウイルス学研究所客員研究員を務めている。真っ赤な噓(うそ)だ。不倫疑惑?まで取り上げられて、彼女、ちょっぴり元気がない。

実は、標的になっているのは彼女だけではない。ほぼ毎日、情報番組に出ずっぱりの呼吸器疾患のスペシャリスト、某クリニック院長はある日、突然、テレビから姿を消した。また、ある「専門家」はテレビのディレクターから「『安倍政権の批判は控えてくれ』と言われた」と告白している。

3人には共通点がある。「PCR検査の必要性」「マスク不足」を一貫して訴えてきた人たちだ。

彼らは「新型コロナウイルス感染拡大の実態把握・早期根絶を諦め、軽症例は『普通の風邪』として対応している」と安倍政権の対応を批判している。

〝検査不要〟の安倍政権はこれが気に入らない。「重症者だけ検査・治療する。そうしないと医療崩壊になってしまう」というのだ。

イタリアのケースもあり一理あるが、それにしても検査件数が少な過ぎる。ごく普通に考えると、無症状者や軽症者を放置すれば感染は拡大するに違いない。

安倍政権は下手な世論操作をしている。

そんなことより、安倍政権に求められているのは「コロナ・ショックで自殺しかねない人々」を助けることだ。消費増税に続いて、コロナ・ショックで失業・倒産、株の大暴落......リーマン・ショック以上の大不況だ。

安倍政権は「消費税減税」「1人10万円の給付金」などを考えているようだが、せいぜい「25兆円程度」の財政出動。このぐらいの「知恵」で、日本が立ち直るとも思えない。

もしもの時の「兵糧」があるじゃないか!

大企業が貯(た)め込んだ利益剰余金(内部留保)があるじゃないか?

財産を食いつぶさないように積み立てる「利益準備金」。特定の目的のために積み立てる「積立金」、利益の蓄積部分である「繰越利益剰余金」......大企業が2008年のリーマン危機に懲りて、貯め込んだ潤沢なカネが一説では479兆円。過去最高である。

給料を低く抑え「雇用」を増やさず、世間が何と言おうと貯め込んだ「479兆円」をこの際、吐き出してもらう。「雇用」を守り、世界中で起こる「資金繰り危機」を乗り越えるためには、このカネを使うしかない。

日本には米国や欧州より「潤沢な兵糧」が残っているのだ。

「コロナの女王」の悪口を言っている暇があったら、日本再生の知恵を探してくれ!

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