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2020年3月29日号
日本のカジノは「新型コロナのマカオ封鎖」と「ある疑惑」で霧散!
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牧太郎の青い空白い雲/760

世の中、新型コロナ騒ぎで、世界一のギャンブル王国マカオも「死んだ街」になってしまった。ご存じだと思うが、マカオは香港と同じように「1国2制度」。中国本土とは違って賭博が合法だ。

人口約67万人、東京都世田谷区の半分ほどの地域に大小41のカジノが並び、年間の旅行客は約4000万人。約3兆9500億円(2019年)を荒稼ぎしている。

そのギャンブル王国にも、新型コロナウイルスは容赦がなかった。カジノ従業員に感染者が出て、2月5日から15日間、カジノ、映画館、ナイトクラブなどが営業停止に。18年9月の大型台風で、全てのカジノが閉鎖されたが、それも33時間。今回は15日間。ゴーストタウンになってしまった。

今では再開されているようだが「博打(ばくち)好きな中国人」に依存している特殊な地域。現状ではカジノ連鎖倒産の可能性まである。

常々、身ぐるみ剝がされている「間抜けなギャンブラー」にとっては朗報?かもしれないが......マカオをお手本にして〝荒稼ぎ〟をもくろむ日本の「統合型リゾート(IR)」推進の面々は真っ青だ。

   ×  ×  ×

気になるのは「萩生田光一文部科学相とカジノ」の深い関わりである。IR事業を巡る汚職事件は衆院議員の秋元司被告を収賄罪で追起訴したことで、捜査が事実上終結したが、実は秋元さんより「もっとカジノ業者と深い付き合いの大物」の存在が浮かび上がっている。萩生田さんである。

2月17日のブログ「牧太郎の二代目・日本魁新聞社」で、〈疑惑追及は頓挫したが、萩生田さんは「関西でカジノは二つ!」とカジノ業者が喜ぶ発言をしている〉と指摘した。3月に入って、『週刊新潮』が「萩生田さんはカジノ実施法の成立直後に香港とマカオを訪問。大手カジノ事業者から超VIP待遇を受けていた!」と写真入りでスッパ抜いた。

当時、萩生田さんは自民党の幹事長代行。超党派の「カジノ議連」の事務局長。〝おもてなし〟したのは、香港に本社がある「ギャラクシー・エンターテインメント」。18年のグループの純売上高は約7772億円、純利益1900億円、従業員2万人、年間来場者数2000万人。このマカオで売り上げ第2位の「大手カジノ業者」が日本参入を計画して、萩生田さんに接近していた。

日本のカジノは21年中に最大3カ所の地域が選ばれる予定だが、今一番アツいのは横浜市。参入を表明しているのは「ゲンティン・シンガポール」「ラスベガス・サンズ」それにマカオの「ギャラクシー」「メルコ」など6社。水面下で争奪戦が繰り広げられているが、「新型コロナ不況」と「萩生田疑惑」で、日本のカジノは当分「沙汰やみ」になるだろう。

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