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2020年2月23日号
山本太郎は共産党の広告塔!と主張する「赤狩り」の面々
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牧太郎の青い空白い雲/755

新型肺炎の情報が溢(あふ)れ、2月2日投票の京都市長選はほとんど全国ニュースにならなかった。でも、この地では(大袈裟(おおげさ)に言えば)「応仁の乱」(室町時代11年続いた内乱)並みの異常な出来事が進行していた。

京都新聞に【大切な京都に共産党の市長は「NO」】【わたしたちの京都を共産党による独善的な市政に陥らせてはいけません】という広告が載ったのだ(1月26日朝刊)。広告主は4選を目指す門川大作候補(公明党、自民党京都府連、立憲民主党府連、国民民主党府連、社民党府連推薦)の支持母体「未来の京都をつくる会」。かなりドギツい文句である。

首長を選ぶ「戦い」である。政策絡みの主張は歓迎だが、高額な広告料を投じた「共産党が悪だ!」というネガティブキャンペーン。「1強」の安倍政権に対してNO!というのならまだしも「5党相乗りで現職圧勝確実!」と言われるのに、一弱の共産党を狙い撃ちするなんて......。「反共」の面々が新聞紙面を買った!という印象だったが......。

選挙結果は、現職の門川大作が21万640票を獲得し、共産党・れいわ新選組の推薦候補、福山和人(16万1618票)と無所属の村山祥栄(9万4859票)を制した。

現職圧勝!と見るか、2人の新人善戦!と見るか、微妙だが、投票率は40%を久しぶりに超え40・71%(前回35・68%)。共産党と「れいわ新選組」推薦候補が投票率を上げたのは間違いない。

   ×  ×  ×

昨今、「赤狩り」を感じてならない。冷戦初期、1948年ごろから50年代前半にかけて、アメリカで起こった、共産党員、共産党シンパと見られる人々を排除した過激な運動。ニセの「共産主義者リスト」なるものまで登場し、偽証、自白強要は数知れず。権力による「赤狩り」は凄(すさ)まじかった。チャップリンをはじめ優れたハリウッドの人間も多数追放された。

今回の京都市長選にも「赤狩り」を感じてならない。

「れいわ新選組」の山本太郎は共産党の広告塔!という意見がある。山本は「消費税で苦しんでいるのは中小企業」「消費税廃止の財源27兆円は、あるところから、法人税、所得税として取れば良い」と主張する。すると、反共の面々は、「27兆円」を試算した税理士は民商・全商連と関係が深い人物→民商は「税金をなるべく払わない」組織→民商は共産党系の団体→だから山本太郎は共産党の広告塔だ!と持論を展開する。

でも早い話が財務省と経団連は結託している。経団連は「消費税を社会保障財源にするなら消費増税に賛成する。代わりに、法人税を減税してくれ!」と主張し、その通りになっているじゃないか。

「共産党は暴力革命政党だ」と批判する向きもある。しかし、日本共産党は一貫して選挙と議会による改革を追求している。

「反共」は時代遅れだ。

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