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2020年9月13日号
社会 「半沢直樹」の部下がこっそり開けたあの機器は本物だった
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銀行員を描いたテレビドラマ「半沢直樹」(TBS)は2013年の放送時に大ヒットし、主人公・半沢直樹(堺雅人)の決めゼリフ「倍返し」は流行語になった。あれから7年、今年7月に同名の続編の放送が始まった。

半沢は銀行から子会社の証券会社に出向中。大型買収を担当するが、頓挫してしまう。半沢は「親会社の銀行が案件を横取りしたのではないか」と疑念を持つ。半沢に協力する部下(角田晃広)が真相解明に動く。重要書類などを収納する機器から鍵を盗み、それを使って銀行の秘密計画を探るのだ。

この収納機器は実在する。「グローリー」(兵庫県姫路市)というメーカーの製品「重要物管理システム」だ。同社はレジの自動つり銭機、両替機、貨幣処理機など金融・流通・交通機関が使う製品を手がける1918年創業の老舗企業。同社の製品は13年放送の前作にも出てきた。広報担当者に聞いた。

「前作にも携わった制作スタッフから『重要物管理システム』の提供を依頼されました。張りぼてではなく、本物です。当社の営業担当者は得意先で『半沢直樹に出てくる製品なんですよ』と自慢し、商談が盛り上がっているようです」

グローリーの製品が登場する映像作品には、テレビドラマ「花咲舞が黙ってない」(日本テレビ)、「下町ロケット」(TBS)、それに14年公開の映画「紙の月」がある。後者は1981年に大手銀行の茨木支店(大阪府茨木市)の女性行員がオンライン端末を不正操作して1億8000万円を横領した事件を題材にした作品。グローリーが本物の現金管理機器を撮影用に提供したという。

「最近の銀行は現金をあまり置かなくなりました」と広報担当者は言う。誤作動が許されない現金を扱う製品を作ってきた同社は今、キャッシュレス決済への対応が喫緊の課題だ。

81年の銀行オンライン詐欺事件を機に、金融機関は防犯対策の強化を迫られた。金融機関の機器も犯罪や映像作品と共に進化する。

(粟野仁雄)

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