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2020年9月13日号
ハマらずにはいられない 達人イチオシ「韓国ドラマ」14選
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ステイホーム中も、ドラマは時空を超えて、観る者を遠くへ連れ出してくれる。中でもラブコメあり愛憎劇ありの骨太な韓流作品は、コロナ禍でも涙腺を刺激したり、心を揺さぶってくれた。目利きの3人が、今観るべき珠玉の作品群を熱烈解説!

今年、ヒョンビン主演の「愛の不時着」を筆頭に、韓流ドラマにどハマリする人が続出している。2003年に日本列島を席巻した「冬ソナ」ブームとは一味も二味も違うらしい。『もっと知りたい!韓国TVドラマ』の李秀香編集長に聞いてみた。

「韓国ドラマはドロドロした人間関係が特徴と見られてきましたが、それだけではありません。資本も人材も豊富で、かつ数にして日本の倍以上のドラマが制作されているため、多彩な物語を楽しめるのです。王道のラブコメのみならず、ファンタジーラブコメや社会派ラブストーリー、サスペンスやヒューマンストーリーなど多種多様。その層の厚さと魅力に多くの人が気付き始めているのです」

韓国は制作本数が多いだけに、視聴者を惹(ひ)きつけるべく、斬新で質の高いドラマを提供し続けていく必要がある。それが全体の質を押し上げる要因になっているというのだ。李編集長におススメの作品を尋ねると、まずタイプの違う4本の恋愛モノが挙がった。

1本目は王道、「私の名前はキム・サムスン」。05年の作品ながら、今も「韓流ラブコメの金字塔」の誉れ高い。〝ラブコメの女王〟キム・ソナが体重を8キロ増やし、少し太めの独身パティシエに挑んだ。

「ぽっちゃりして外見に自信のない女性が、恋に仕事に、大事なものを摑(つか)みとってゆく。当時の新しいヒロイン像を提示し、多くの女性の共感を得て大ヒットにつながりました。パティシエという職業も社会現象化したほどです」(李編集長)

その年下ツンデレ彼氏役が、若き日のヒョンビンだった。

「ヒョンビンはこの作品で爆発的な人気を得ました。まだ若くて体も華奢(きゃしゃ)。演技も初々しいですが、やはりカッコいいですね」(同)

次に挙げるのが、社会派ラブストーリー「バリでの出来事」だ。異国のバリで巡り合った4人の若者が繰り広げる不条理な愛憎劇で、欲望や嫉妬が渦巻く。

「明るく正しい『キム・サムスン』とは真逆の恋愛ドラマ。主人公の女性は2人の男性の間で揺れ動きます。普通は、たとえ苦しくても一途(いちず)に好きな人を思い続けるというヒロイン像が多いのですが、彼女はリアリストで、最後まで徹底的に暗く悲しい。ラストの衝撃といったら!大人が作った社会システムへの絶望など、今の若者が抱えるものも内包しています」(同)

3本目のおススメはファンタジーラブコメの頂点「トッケビ〜君がくれた愛しい日々〜」。高麗時代の英雄だった将軍が策略により殺され、やがて不滅の命を持つ鬼「トッケビ」と化して、現代によみがえる。やがて宿命の花嫁と出会うも、運命の歯車が狂い出し......。

「生まれ変わりや生死など重く悲しいテーマをファンタジーに明るく仕立て上げた秀作です。有名脚本家が手掛けているので切り口が新しく、セリフも斬新。会話もテンポよく楽しめます」(同)

主演のコン・ユは韓国トップクラスの俳優であり、近年は映画出演が続いたが、本作で4年ぶりにドラマに復帰し話題となった。

「背が高く、コート姿がカッコいい。仕草や佇(たたず)まい、声色や表情すべてに、人間性と大人の男の色香が漂っています!」(同)

お次はヒューマンラブストーリーの「椿の花咲く頃」。バーを経営し、偏見を持たれながらもたくましく生きるシングルマザーと純朴な青年との恋物語である。

「女性脚本家による作品で、2人の恋を中心に、下町に生きる人々の明るさを描いています。殺人事件などサスペンス的要素も盛り込まれ、自分の人生をじっくり考えさせられる部分があったりと、さまざまな魅力にあふれています」(同)

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