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2024年3月17日号
「志村けんにコロナうつした」 賠償命令受けたデマ投稿者の〝愚〟
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 2020年3月29日、新型コロナウイルスによる肺炎で亡くなった国民的コメディアンの志村けんさん(享年70)。その志村さんに「コロナをうつした」などと事実無根の投稿をインターネット上に流され、名誉を傷つけられたとして大阪・北新地の高級クラブ「クラブ藤崎」の藤崎まり子さんが複数の投稿者に損害賠償を求めていた裁判で、大阪地裁は2月22日、投稿者2人にそれぞれ12万円の賠償を命じた。

 志村さんの死後、SNS上に「志村さんにコロナを感染させたのは藤崎ママだよ」といったデマ投稿がなされ、拡散した。投稿を信じた志村さんのファンの怒りは藤崎さんに向けられ、「許さない」「人殺し」といった誹謗(ひぼう)中傷のメッセージが相次いだ。多い時でSNSアカウントに1日約300件送られてきたという。

「藤崎さんはその後、投稿者らの情報開示請求を開始。昨年5月13日付で示談に応じなかった投稿者26人に対して、合計約3300万円の損害賠償を求め、大阪地裁に提訴していました」(全国紙記者)

 加害者の一人である女性会社員は、写真週刊誌『フライデー』(昨年5月28日電子版)で「志村さんに関するデマを拡散させたのは有名クラブのママだったXさんです」と語っていた。さらに「彼女は人気がある同業者の藤崎さんを敵視していて、志村さんの件の前から誹謗中傷を繰り返していた。志村さんのコロナ感染が明らかになると、Xさんの店のスタッフがSNS上にデマを投稿。そこから一気に拡散したのです」と生々しい経緯を証言。

 銀座のクラブ関係者は「『フライデー』で証言した女性会社員は元々、Xさんのファン。彼女から嫌われたくない一心でデマ投稿に加担したようですね。そもそもXさんはトラブルメーカーで、銀座のクラブ界隈(かいわい)でも名前は知られていました」と言う。そのXさんは、20年4月の『週刊新潮』で「JAL機内で自慢のバーキンを床に置くのは嫌だと揉(も)めたり、コロナ対応に追われる加藤勝信厚労相(当時)との5年前の2ショット写真を勝手にSNSに載せた」と報じられている。

 一方、デマ投稿を流された藤崎さんは「当時、(私が)感染していた事実もなく、志村さんとも面識がありません」と否定していた。

 志村さんの飲み仲間だったテレビ関係者は「志村さん自身も、藤崎さんはもちろんXさんとも面識はありません」と断言する。

 志村さんがコロナ感染での急死後、今年3月29日で丸4年を迎える。出身地の東京都東村山市の西武線・東村山駅東口――。志村さんの定番ギャグ「アイーン」姿の銅像を訪れるファンは後を絶たない。

「フジテレビ系の特番で放送される『志村けんのバカ殿様』シリーズは今も高視聴率を上げています。それだけにデマ投稿に裁判所が賠償命令を出したことで、志村さんも安らかに眠ることができるのではないでしょうか」(前出のテレビ関係者)

 藤崎さんは同じような書き込みをした他の投稿者にも損害賠償請求を起こしている。今回の判決が、デマ投稿の〝抑止〟になることを期待したい。

(本多圭)

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