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2021年11月 7日号
社会 ウニ、イクラ、サケが大量死 北海道太平洋岸の赤潮が原因
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 北海道釧路市の観光名所、和商市場に並ぶウニの小売価格が100㌘当たりなんと7000円を超えた。仕入れ価格が2倍以上に跳ね上がったからだという。隣の釧路町はふるさと納税をした人向けの返礼品をウニから急遽(きゅうきょ)、別の品に変えた。厚岸(あっけし)漁協(厚岸町)の丹後谷耕一ウニ部会長に聞いた。

「殻付きウニの水揚げ量は例年、1日当たり4〜5㌧でしたが、今年は連日800キロ前後に落ち込んでいます。海底を調査したところ、白く変色してトゲが抜けた死んだウニが広がっていました。その年の売り上げで稚ウニを買っているんです。早く収まってくれないと漁が立ち行かなくなってしまいます」

 大量死しているのはウニだけではない。釧路市の水産加工会社「阿部商店」の阿部英晃社長に聞いた。

「地元産のイクラの入荷が半分になり、オホーツク地方から取り寄せています。そうすると運送料がかさみ、1〜2割高くなってしまいます」

 例年なら豊頃町の大津漁協はこの時期のサケが漁獲の主力だ。しかし長浜竜一専務はこう懸念する。

「9月20日ごろから死んだサケが見つかり出しました。9000匹以上は死んでいました。漁期を変えるわけにもいきません。これからのシシャモ、ツブ貝、タコなども心配です」

 大量死の原因は北海道の太平洋側沿岸で異常発生した赤潮。ロシア領千島列島やカムチャツカ半島の低水温海域に繁殖するプランクトンが正体とみられている。北海道庁によると、大量死は9月中旬以降、根室地方から日高地方にかけての海域で発生。「これほど広範囲な被害は例がない」(水産振興課)といい、被害は10月18日時点での集計で、ウニ約2300㌧(約68億4400万円)、サケ約2万1300匹(約5500万円)だった。サクラマス、ツブ貝、昆布などにも影響し、被害総額は約76億円に上ったという。

(粟野仁雄)

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