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2021年2月28日号
行政 民間で相次ぐオフィス見直し 古都・鎌倉も市役所「縮小」へ
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 自社ビルを手放す大手企業が出る中、地方自治体でも「オフィス見直し」の動きが出てきた。来年のNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」の舞台となる神奈川県鎌倉市だ。2028年度に開庁予定の市役所の新本庁舎を、JR鎌倉駅近くの御成町から市西部の深沢地域に移転し、延べ床面積を現行計画の2万5000平方㍍から縮小する方針だ。

「うちは先陣を切って行くわけですから、これからの時代にふさわしい市役所の姿を示したい」と語るのは、同市行政経営部庁舎整備課長・関沢勝也さんだ。1969年に建設された現本庁舎は、老朽化で6年ほど前から建て替えなどが現実的な問題になっていた。建て替えや修復より移転を選んだのは、現庁舎が海にほど近く、多くの観光客でにぎわう鶴岡八幡宮からも約1㌔という立地による。津波を念頭に置いた防災面や地下に埋蔵する文化財の影響なども考慮し、市が判断した。

 昨年12月には音楽・映像事業のエイベックスが、東京・南青山の本社ビルを売却すると発表した。1月には広告代理店最大手の電通グループや物流大手の日本通運が、東京・汐留の本社ビルの売却を検討していることが明らかになった。コロナ禍による業績悪化の一方、リモートワークの普及もあってか、民間では大企業でもオフィス環境を見直す動きが相次いでいる。

 松尾崇(たかし)市長は1月、地元の地域情報紙に「固定席で仕事を行っていくという時代ではない」と語っている。リモートワークなどの新しい働き方を追い風とし、職務スペース自体も減らす意向だ。

 目指すのは「コンパクトな本庁舎」と前出の関沢さん。業務の効率化やIT化、手続きの簡略化などを進めることで、総合的な「縮小化」を図る考えだ。

 オフィス環境の見直しは、コロナ禍が多くの人の「働き方」を変えた結果といえよう。鎌倉市役所のような公的機関でも、果たして同様の動きは広がるか。

(岩田敬子)

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