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2020年12月13日号
金融 前期129億円赤字のコナカ 商売敵の百貨店、ゾゾに出店
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「コロナ禍でスーツ需要が急減 紳士服4社が赤字へ」

信用調査会社の東京商工リサーチは11月20日、そんなタイトルの記事を配信した。〈入学式や入社式、就活の需要が急減。さらにテレワークの浸透でスーツの販売が落ち込んでいる〉と説明している。4社のうち、コナカの2020年9月期純利益は129億4800万円の赤字。他の3社の21年3月期純利益(会社予想)は、青山商事292億円▽AOKIホールディングス(HD)53億5000万円▽はるやまHD35億円――のいずれも赤字だった。

コナカは販路の拡大に打って出た。政府が緊急事態を宣言した直後の4月13日、広島市の百貨店「福屋」八丁堀本店にスーツ販売店「ディファレンス」を出店したのだ。11月6日付プレスリリースによれば、同店の売り上げは予算比1・5倍以上と好調だという。同月には「そごう」の千葉店と横浜店にも相次いで出店した。

「ディファレンス」の主力商品はテーラーメードのスーツ。11月からは店員が採寸する際、客への接触が最小限で済むスマートフォン用アプリを導入した。客を撮影した画像を人工知能(AI)が解析し、採寸する仕組みだという。そのほかにもインターネットを利用した取り組みが百貨店に評価され、「強い出店要請があった」(コナカの発表文)。

さらにコナカは11月25日、スーツ販売店「スーツセレクト」を衣料通販サイト「ゾゾタウン」に出店した。

東京商工リサーチの原田三寛情報部長はコナカの動きについて、こう話す。

「紳士服大手にとって百貨店やZOZO(ゾゾタウンの運営会社)はこれまで商売敵。両者が手を組むのは驚きであり、コロナ禍を乗り切る新たな連携として注目しています」

〝昨日の敵は今日の友〟とばかりに連携対象を広げる動きは、他の業界にも広がりそうだ。(森岡英樹)

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