サンデー毎日

対談
艶もたけなわ
2020年5月31日号
檜原麻希 ニッポン放送代表取締役社長
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阿木燿子の艶もたけなわ/302

「在京キー局初の女性社長誕生」のニュースの記憶も新しい檜原さん。3カ国語を操る語学力に加え、抜群の企画力や実行力で、さまざまな試みをラジオ界にもたらした一流の放送人です。その一方、偉ぶらず飾らないお人柄も魅力で、阿木さんも長く親交を結んでこられました。阿木さんの夫・宇崎竜童さんとの意外なご縁の話も!?

◇私、他人からの評価に目標を置くタイプではないんです。

◇社員の方に檜原さんのことを伺ったら「凄く身近で寄り添ってくれる方です」と。

◇いつも社内をウロウロしているから(笑)。やはり現場が大事だし、私も性に合うので。

阿木 このところ檜原さんとは月に1回、ニッポン放送でお目にかかっているので、こうして改まると何だか様子が違って。

檜原 そうですね。放送番組審議会でお会いしてますものね。

阿木 ニッポン放送の社長になられて1年近く経(た)ちますが、すっかり貫禄が。

檜原 いえいえ、とんでもない。私、貫禄は無いです(笑)。

阿木 今までお食事を何度もご一緒させて頂いているんですが、その度に肩書が変わられて。編成局長、常務取締役、そして社長。

檜原 その都度、お祝いして下さって。

阿木 でも、今日まで私、檜原さんの若かりし頃の履歴を存じ上げなくて。檜原さんって、帰国子女で、フランス語と英語がネーティブ並みに堪能でいらっしゃるんですね。お見逸(そ)れいたしました(笑)。

檜原 いえ、そんな(笑)。

阿木 檜原さんは酒豪でいらっしゃいますが、飲んでいても、チラリともそんなことを仰(おっしゃ)らない。

檜原 別に言うような場面でもないので(笑)。

阿木 でも、普通だったら何かの話の折に「私がフランスに居た頃はね」とか、「イギリスではこんな経験をしたの」とか触れそうですが、まったく仰らないでしょう? 私だったらきっと言うと思うの。「私が居た頃、パリではねー」なんて(笑)。

檜原 まあ、いつも大人数で、ワイワイ飲んでますしね。

阿木 男の人にとって昇進は、それなりに達成感もあるだろうし、権力欲も満足させられるだろうと思うんですけど、女性の受け止め方としては、どうなんでしょう。嬉(うれ)しい半面、お子さんが居たりしたら、時間的に縛られるのが辛(つら)いな、みたいな。

檜原 まあ、男女によらず、サラリーマンであるならば、昇進したり昇格したりするのは嬉しいし、ひとつの目標になるとは思うんです。

阿木 私、会社に勤めた経験がないので分からないのですが、常務ぐらいの方が居心地がよいみたいなことはないですか? だって社長って、責任が重いでしょう?

檜原 何てお答えしたらよいのか(笑)。今は私、もうケセラセラですね。むしろ若い頃の方が評価が気になったんじゃないかな。ただ私、あまりそれに目標を置くタイプじゃないので。

阿木 最初に辞令が降りた時は、どんな感じだったんですか?

檜原 超戸惑いですよ。正直、「ええっ」という感じで。

阿木 檜原さんの社長就任は、いわば〝大抜擢(ばってき)〟。そうすると、それまで見ていた周囲の〝風景〟が違ってくるでしょう?

檜原 それはありますね。

阿木 こういう場合、女性であることは強みなのか、逆なのか。

檜原 「在京キー局初の女性社長になられて、いかがですか」といった質問をされることが多いんですが、たしかにまだまだ、この業界は男社会ですよね。ウチでも子育てをする女子社員にとって、パーフェクトな環境とは言い難い。私にしても、どんな会議に出席しても、男性の方が圧倒的に多くて、気分としてはマイノリティーですね。

阿木 日本の場合は、社会的地位が上がれば上がるほど、視界がダークスーツ一辺倒になってくる。

檜原 今の世界のバランスから考えると、不自然ではありますよね。

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