牧太郎の青い空白い雲/1017
警察の不祥事が後を絶たない。特に神奈川県警である。
大昔ではあるが、1999年、警察官の覚醒剤使用事件を県警本部長が握り潰した「超組織的犯罪」が発覚。当時の本部長らが起訴され有罪になった。警察職員の不正を告発しなければならない監察官室が、逆に「仲間の犯罪」を隠していたので「戦後最悪の警察不祥事!」と報道されたのを覚えている。
これを機に、神奈川県内の弁護士らが中心となり、警察の不正・不当な行為を監視する市民団体「警察見張番」が設立されたほど。
それでも、神奈川県警では「あってはならないこと」が続発する。
ごく最近では、昨年11月7日、当直勤務中に交番で不適切な交際(要するに性行為)をしたとして、県警監察官室は秦野署地域課の40代男性巡査部長と20代女性巡査を「減給10分の1(1カ月)」の懲戒処分にしたと発表した。
こんな色恋ごとはどうでもいいが......今年2月に発覚した「嘘のスピード違反の切符を2年間で約2700件も切っていた事件」には唖然とした。
不正が指摘された第2交通機動隊の第4小隊は県内の茅ヶ崎市を拠点に、「小田原厚木道路」の交通違反や事故対応をしている。ドライバー仲間では「取り締まりが厳しい!」という評判。だから、熱海や伊豆半島に遊びに行くときは「慎重」に運転する。でも......。ここのお巡りさんはすぐ「あなたはスピード違反」と難癖をつける。
例えば、一般道では約30㍍の車間で約100㍍、高速道では約50㍍の車間を保ちながら、約300㍍を「当該車両」と同じ速度で走行し、スピード違反!や車間距離不保持を認定する。それが決まりだが、第4小隊の巡査部長らは、これらの手順を大幅に省略、すぐさま「違反!」と決めつける。
この「やり口」で、ドライバーが支払った「反則金」は3500万円余り。これは「大泥棒」ではないか。
このインチキ取り締まりで捕まった「犠牲者」は......ゴールド免許を失ったり、保険料を高く払ったり、下手したら職を失った人もいる。
このお巡りさんは「詐欺師」である。もっと正確に言えば「虚偽有印公文書作成・同行使」「特別公務員職権濫用」、場合によっては「逮捕監禁」にあたるだろう。
はっきり言って内閣総理大臣が謝罪すべきだ。
それにしても、なぜ警察官がカネを奪うのか? こんな〝犯罪〟を選ぶのか? たぶん警察官へのノルマがあるからだろう。組織が利益を確保し、方向性を示すために「目標」を設定するのは、どの世界でもあるけれど......。警察には不似合いだ。知り合いの警察官は「ノルマが未達成だと仲間に罵倒されたり、休日に強制出勤させられることがあるんだ」と話す。
「警察見張番」も必要だけど......。ノルマはやめようぜ!
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◇まき・たろう 1944年生まれ。毎日新聞に入社後、社会部、政治部を経て『サンデー毎日』編集長に。宇野宗佑首相の女性醜聞やオウム真理教問題を取り上げる。現在、毎日新聞客員編集委員。ブログに「二代目・日本魁新聞社」がある