サンデー毎日

コラム
青い空白い雲
2026年3月 1日号
久米宏さんも肺がんで...天才を早死にさせないための「数式」?
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牧太郎の青い空白い雲/1015

「何か」書きたい!

 でも、何を書いてよいのか? あまりのショックで書けない。で、1カ月余がたった。

 今年元日に亡くなった久米宏さんのことだ。1967(昭和42)年、「早稲田の政経」を卒業した同窓。でも縁がなく、お会いしたことはなかった。一時期、朝のワイドショーのコメンテーターをやっていた時、テレビ朝日の廊下で何度か彼に〝遭遇〟したが、いつも(テレビでは見せない)難しい顔。声をかけられなかった。

 67年ごろはいわば就職氷河期。友人の「みのもんた」がテレビ番組で「毎日新聞社を受けたら俺が落ちて牧太郎が合格。TBSを受けたら、久米宏が合格して、俺が落ちた。で、文化放送に潜り込んだ」と何度も話していた。「牧太郎」なんて、どうでもよい。「みの」は「俺は久米宏のライバルだ!」と言いたかったのだろう。その「みの」も昨年、亡くなった。

 就職氷河期を乗り越えた「天才」は、なぜ早死にするのか?

 久米さんの死因は「タバコの吸いすぎ」だろう。あの頃、マスコミを目指した早稲田の学生はみんな吸った。俺は、35年ほど前に脳卒中で倒れ、専売病院に入院した。診察室で医師から「タバコは自由に吸ってよいです」と言われた。この病院では各階に「喫煙室」まであった。まあ、タバコの売り上げで維持されている医療機関だから......。ところが、その医師は廊下ですれ違った時、小声で「タバコはすぐやめてください。肺がんで死んでしまいます」。この時まで「1日に40本」吸っていたがタバコをやめた。それでも7年前、肺がんが分かり手術した。

 久米さんは「ニュースステーション」を終えてから、ラジオの「久米宏 ラジオなんですけど」を続けたが、20206月に終了。あれほど大好きなラジオを辞めたのは、肺に異常が起こったのだろう。ドクターストップで禁煙をしたらしい。67年卒の仲間はほとんどが「何か」のキッカケで禁煙した。それでも何人か亡くなっている。

 肺がんは恐ろしい。5年生存率は377%。そして、肺がんの一番の原因はタバコだ。

 実は肺がんの検査が今年4月から変わる。これまでは一律に胸部エックス線検査と喀痰(かくたん)検査をするよう推奨されてきたが、喀痰検査が外れる。代わりに、個人の喫煙歴(喫煙量)を調べる。

 1日の喫煙本数×喫煙年数......例えば、30年間にわたって120本吸っていた人の場合は30×20600になる。これを「ブリンクマン指数」と言うらしいが、この指数が600を超える人(重喫煙者)は、従来の胸部エックス線検査ではなく、低線量CT検査を受ける。

 久米さんの素晴らしいことを書こうと思いつつ......「タバコは天才の敵!」と書いてしまった。

 久米さん、残念だ!

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 ◇まき・たろう

 1944年生まれ。毎日新聞に入社後、社会部、政治部を経て『サンデー毎日』編集長に。宇野宗佑首相の女性醜聞やオウム真理教問題を取り上げる。現在、毎日新聞客員編集委員。ブログに「二代目・日本魁新聞社」がある

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