サンデー毎日

対談
艶もたけなわ
2020年5月 3日号
MIYAVI ミュージシャン
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阿木燿子の艶もたけなわ/299

難民問題をはじめ、世界情勢や時事問題に一家言を持ち、自ら現地に飛んで現状を確かめ、思いの丈を発信する......。これを成し遂げているのが、文化人やジャーナリストではなく、ロックスターだというから驚きです。オリジナリティー溢れるギターサウンドと熱い人間愛を武器に世界で活躍する、MIYAVIさんが今回のゲストです!

◇僕の音楽には、人と人とをつなげる役割があると思っているんです。

◇MIYAVIさんが伝えたいメッセージの核になるものって?

◇哲学や道徳観を持つことの大切さです。他人と共存するために必要なことですから。

阿木 アルバムを2枚、聴かせて頂いて、すっかりMIYAVIさんのファンになりました。私のような年齢の者が聴くと、何だか懐かしさも感じるサウンドで。

MIYAVI 嬉(うれ)しいです。心に残るメロディーって、昔からそう変わっていないんじゃないかと思うんです。ビートはその時々の時代を象徴する。あとは言葉ですよね。特に新作「Holy Nights」と前作「NO SLEEP TILL TOKYO」では、メロディーと言葉を伝えることに重点を置きました。

阿木 歌詞の英文がとても易しく、中学英語(笑)。私でも判(わか)りました。

MIYAVI メッセージを伝える上で、どうシンプルに、かつ深く響かせられるか、そこは大事だと思うので。

阿木 今回、聴かせて頂いたアルバムは2枚とも、歌詞に英語と日本語が混在してますよね。だから、何をメッセージになさりたいか、英語が理解できない人にも伝わるし、逆もそうだし。

MIYAVI もちろんテーマやストーリーがあって詞を書くんですけど、同時に「日本の音楽が、世界でどう鳴るか」ということを、僕は常に意識しています。なので英語と日本語の配分が凄(すご)く大事で。例えばAメロを日本語にしてストーリーを伝えたら、サビを英語にするとか。またその逆とか。自分なりに試行錯誤を続けています。

阿木 そうすることで、日本人にも英語圏の人にも、伝わる楽曲になっているんですね。なかなか戦略として上手(うま)い(笑)。

MIYAVI 別に僕、そんな戦略家じゃありませんが(笑)。

阿木 ピアノと違ってギターのような弦楽器だと、ドとレの間に、無限の音が存在しますよね。MIYAVIさんのギターは、そこを漂う音がとても素敵(すてき)。

MIYAVI ありがとうございます。僕達ミュージシャンは目に見えないものを扱う商売じゃないですか。じゃ、それって何なの、と聞かれたら波動、つまりバイブレーションという答えが出てくると思うんです。で、その揺れ幅をどう扱うか。赤ちゃんが揺り籠で心地好(よ)く眠っている状態の反復運動みたいな波動を、ギターで作れたらなと思うんです。

阿木 でも、時としてMIYAVIさんの音は破壊的で、聴く人の心をグサッと刺すことも。

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