サンデー毎日

対談
艶もたけなわ
2019年12月 8日号
上野千鶴子 社会学者
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阿木燿子の艶もたけなわ/279

女性学・ジェンダー(社会的性差)の研究者で、当代きってのフェミニスト、上野千鶴子さん。今年度、東京大入学式で披露した祝辞が大きな話題を呼んだように、その歯に衣着せぬ発言は、常に世間の注目の的となり続けてきました。阿木さんとは3学年違い。同世代の2人が結婚・家族制度・終活をめぐり膝を突き合わせた、その行方は―。

◇私が女性学の道を志したのは、その時々の〝私怨〟ですよ。

◇お若い頃、上野さんは男性に対しては、どんな感覚をお持ちだったんですか?

◇当たり前ですが、愛いヤツもいれば、可愛くないヤツもいる。それだけですよ。

上野 ご迷惑かもしれませんけど、名刺代わりに、こういうものを持って参りました。

阿木 ありがとうございます。来年の日めくりならぬ、三日坊主めくりですね。いろいろ〝御教訓〟が書いてあるようで。

上野 今回、私がこの言葉の選者になりまして。ちょっと笑えます。トイレにでも置いて頂ければと。

阿木 そうさせて頂きます。ところで上野さんは対談で「先生」と呼ばれるのは、お嫌な方?

上野 やめてください。対談だけではなく、飲み屋なんかで呼ばれると、酔いが醒(さ)めます。

阿木 でも、大学にいらしたら、もちろん?

上野 ええ、学生はね。だけど、学生も1回目は上野先生、2回目は上野さん、3回目以降はチヅちゃんです。

阿木 えッ、ずいぶんフランクな(笑)。上野さんというと、今年の東京大学の入学式での祝辞が、世間の耳目を集めました。

上野 はい、〝東大祝辞バブル〟で、今回もここに呼んで頂けたのかと(笑)。

阿木 いえ、そんなわけでは(笑)。というと、いろいろなところからお座敷がかかった?

上野 テレビのバラエティー番組からとか。全部断りましたが。

阿木 さすがきっぱり(笑)。あの祝辞では新入生に向けて、一昨年の東京医科大の不正入試問題に触れ、なぜ、東大には2割を割る人数しか女子学生がいないのか、というようなお話をなさっていましたよね。

上野 東大は別に、不正入試はしていません(笑)。

阿木 東大を受ける女子学生自体が少ないってことですよね。

上野 そうです。女子の受験生自体が増えないから、増えようがない。

阿木 女子学生は真面目に勉強する人が多いので、成績も優秀なはずなのに。

上野 確かに。ただ女子は、浪人する比率が少ないんです。一昔前なら女子が浪人したら〝傷もの〟と言われましたでしょう。だから「浪人してまで上級学校へ行け」というプレッシャーを、親は女の子にかけない。それに女子自体も、無理して東大に入っても、と思う。東大に行ったら、逆にお嫁に行けなくなっちゃうと(笑)。

阿木 女性の学歴が高いと、男性とのバランスが取りにくい。

上野 阿木さんのところは、学歴格差はどうなんですか?

阿木 ウチは同じなんです。二人共、明治大学で同学年。

上野 じゃ、学生時代からのお付き合い?

阿木 大学1年生、18歳からです。

上野 えっ、半世紀以上?

阿木 あっという間の50年でしたけど。

上野 脇目も振らず、寄り道もせず?

阿木 お互いに脇目は、それなりにありつつも(笑)。

上野 今の発言、削らないでくださいね(笑)。いろいろ百戦錬磨で最終的に辿(たど)り着いたお相手?

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