サンデー毎日

対談
艶もたけなわ
2019年12月 1日号
保森千枝 介護食アドバイザー/料理研究家
loading...

阿木燿子の艶もたけなわ/278

「病院食」の印象が強い介護食。イメージを変えるべく奮闘する料理研究家が、保森千枝さん(通称クリコさん)です。野菜を使ったピュレやゼリー、海老フライなど、その料理は美しく、かつボリューム満点。阿木さんも「発明」と絶賛するほど。介護食作りのきっかけとなった、ご主人との思い出を中心に伺いました。

◇介護食に関わって、このために料理を作り続けてきたんだと気付きました。

◇クリコさんの作られた介護食で、一時期、ご主人の体重が元に戻られたとか。

◇食べることは生きることで、人生の喜びだと、主人が病気になって再確認しました。

阿木 私、クリコさんとお会いするのは2度目なんですよね。1度目はNHKのEテレの介護番組。さまざまな理由で介護食しか食べられない方のために、見た目も奇麗で美味(おい)しい介護食をクリコさんは研究なさっていらっしゃる。

クリコ 一昨日、お料理講習会を開いたら、生徒さんのほとんどが、あの番組をご覧になっていて「本も買いました」って。

阿木 クリコさんがお書きになった、エッセーとレシピが載った『希望のごはん 夫の闘病を支えたおいしい介護食ストーリー』ですよね。私、番組の収録時と昨日、二度、読んだんですけど、もうその度に泣けて泣けて。

クリコ すいません(笑)。

阿木 だって本当に愛し合っていたお二人だったから、ご主人のがんの宣告を聞かれて、どんなに切なかったかと。本の冒頭から「アキオ、クリコ」とお互いに呼び合って、鬼ごっこをする様子が書かれているくらい仲が良くて。

クリコ 周りに「バカップル」と言われるくらい、いつもじゃれ合ってたんです。

阿木 雨が降るとご主人に「今日会社、休めば? 一緒にお家(うち)にいましょう」とおっしゃったとか?

クリコ はい。すると主人が「そういうわけにはいかないよ」って。でも仕事以外はいつも一緒。お互い食べることが大好きで、二人でよく食べ歩きしました。

阿木 そんなご主人が、よりによって口腔(こうくう)底がん、食道がんになられた。

クリコ 最初、肺がんだったんですが、次に口腔底がんが見つかって。肺がんの時はまだ、余裕があったんですけどね。

うさぎとマツコの人生相談
週刊エコノミストOnline
Newsがわかる
政治・社会
くらし・健康
国際
スポーツ・芸能
対談
コラム